次元を超えて(5) ページ6
(なんじゃ…こやつら。気味悪い……)
蛮族に妖、武器を持った者に囲まれて頭が混乱している。
徳川の名が通じない。
高貴な姫の私に無礼な口を利く。
大きな体も何もかもが恐怖でしかない。
それでも、精一杯の虚勢を張ってみせる。
(落ち着け…この者らに隙など見せてみろ……食い殺されるのが目に見えておる)
『わらわに…一歩でも近づいてみよ。そちらの首がかっとぶぞ!!わらわには…屈強な護衛が何人も…』
いた。
でも、今は味方は誰一人いないのだから…首がかっとぶはずがない。
というか、護衛だって異形の者たちに勝てるかどうか…。
妖に蛮族、勝つ見込みなどどこを探してもない。
蛇男はそれを聞いたとたん、挑発するように近づいてきた。
「おい、首がかっとぶんじゃないのか?」
『あ、妖めッ…それ以上近づくなと言うておろうがッ』
怯えを隠しきれず、全身から血の気が引き、がくがくと震えだす。
『ひッ…わら、わを食うつもりか。さては…とちら、全員妖か鬼じゃな!?』
「なんだ…俺らが怖いのか?」
「やめろ青李。…さっきから訳の分からないことばかり言っているが、お前は何者だ。何しにここへ来た」
紅炎と呼ばれた男が再び、質問をしてきた。
『ふんっ!聞いて驚くがよい、妖共!!わらわは華霧家の姫、華霧 Aじゃ!おぬしら妖も知っておろう!華家には特別な力がある!!』
誰もが首を傾げ、何言ってんだこいつ?と言った目でAを見る。
『華家の力は邪を滅ぼす力…邪とはすなわち、おぬしら妖のこと!!華家の者には邪を祓う加護がついておると昔から言われておるのじゃ!』
「つまり、俺たちは君に滅ぼされると?」
涼しげな顔でそう聞いてきたのは、紫髪の男・シンドバッド。
『そ、そうじゃ!』
「君には興味があるな。ルフも無ければ…おかしなことを言う。アラジン、本当に世界を行き来できる人間はいないのか?」
「シン!何を言い出すんですか…!?」
「うん。そのはずだよ」
「どうかな?君が確認したわけじゃないだろう。第一、他の世界のことを俺たちは何も知らない。世界を渡る力を持つやつがいてもおかしくないと思うんだが…」
「おじさん、それって…」
「そう。彼女は外の世界から来たと考えるのが妥当だよ。だったら、ルフがなくても納得できる」
その言葉に一番驚いたのは、A自身だ。
『こ、こここ、ここは異国の地ではないのか!?他の世界とはなんじゃ!??』
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岸田(プロフ) - 青李、李青秀なので呼び方は李青秀か青秀なのではないでしょうか…? (2019年2月2日 10時) (レス) id: a6cde36435 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - スノーさん» ありがとうございます、嬉しいです♪更新スピードバラバラですが、最後までお付き合いください(o*。_。)oペコッ (2017年11月14日 21時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 昨日見つけて一気見しちゃいました!続きを楽しみに待っています! (2017年11月14日 21時) (レス) id: 61560a1736 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - MIZOREさん» ありがとうございます(*- -)(*_ _) (2017年10月14日 15時) (レス) id: 23374c4c5d (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE - 暁さん» 私も一安心しました... 再ログインできて良かったですね! これからも更新楽しみにしてます! (2017年10月13日 22時) (レス) id: a68bb744ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年9月30日 21時