Prologue ページ1
「やぁマスター、一杯飲みに来たよー」
「……はぁ？」
最初、店のドアから女が入ってきた時は思わず呆けた声が出た。
「あれ、ここって私以外の客来るんだ。」
そりゃそうか、じゃないと経営やってけないもんね なんて笑ってんだか笑ってないんだか分からない顔でこっちを見る。
いやいや、経営がどうこうじゃなくて。
ここはヴィランのアジトだぞ。なんで一般人がここに来んだよ
「誰、お前」
「誰って……加賀美Aですけども」
少し戸惑いがちに本名らしき名前を言う死んだ魚の目をした女。
カウンターの向こう側にいる黒霧にどういう事だ、と説明を求める意で顔を向けた。
だがあいつは何食わぬ様子で入ってきた女に接待をする。
「いらっしゃいませ、最近姿が見えなかったのでどうしたのかと。」
「いやはや、最近仕事が忙しくてね。やっとひと段落ついたんだよ」
おい俺が言いたいこと分かんだろ、無視すんな
しかも最近て、この女いつから来てんだ？初めて見たぞ。
苛立ちを感じると共に、無意識に首元をガリガリと掻きむしる。その間に女は俺と椅子2つ分の間を開けてカウンターに座った。
「とりあえず、今日は酔いたい気分なんだ。飲みやすくて一杯でも酔えるの、お願い。」
「かしこまりました。」
あー、もう。こんな奴がいたらおちおち考え事も出来やしない。
グラスに入った飲みかけのドリンクをぐい、と煽って席を立ち、女には見向きもせず早々と店を後にする。
はっきりいってすぐに壊さなかったのを褒めてもらいたいぐらいだ
──────────────────────
「おい黒霧、あの女は誰だよ。なんで一般人がアジトに酒なんか飲みに来てんのさ」
次の日、バーに着いたやいなや悠々とグラスを磨く黒霧に昨日の女のことを問いただす。
苛立たしげな俺に反して黒霧はなおも冷静な様子で答えた。
「あぁ、死柄木弔は彼女と会うのは昨日が初めてでしたか。彼女は常連客ですよ。」
「常連？」
確かに義爛なんかはよく来るが、店に来るのなんてあいつか、あいつが連れてきた奴ぐらい。つまり裏側の人間。
けど、あの女は明らかに一般人だった。
「ええ。彼女は偶然このバーのことを知ったようでして。それからよくここに。」
「はぁ？それでなんで普通に酒をはいどうぞって出すわけ？さっさと追い出せよ。」
義爛とかだったらまだ分かる。
でも一般人が酒を楽しむためにここへ来るのは話が違うと思う。
「そう仰らずに、貴方と彼女は似ていますから。きっと気が合うと思いますよ。」
それがAとの最初の出会いだった。
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りんご同盟 - あっ…好きぃ (11月20日 23時) (
レス) @page35 id: ed24fa5325 (このIDを非表示/違反報告)
星宮暦(プロフ) - わぁ〜！神作見つけてしまった…更新頑張って下さい！応援してます！ (8月22日 0時) (レス) @page25 id: b26f71cce5 (このIDを非表示/違反報告)
11才のバカ - これは追うしかないっしょ！おもろ〜！好みドストライク。桜もちさに更新ガンバってください！ひそかに見学！ (5月9日 0時) (レス) @page17 id: 470dc29d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜もち | 作成日時：2023年3月30日 7時
