42 ページ46
you side
土井「本当は……心の中では、
いつも"A"って呼んでいるんだ」
……なんてこったい！！
私は顔を覆う半助さんの手を掴んだ。
半助さんは、驚いたように目をパチパチさせている。
『半助さん！せーの！』
土井「え、え」
『心の中でやめないで……呼んで？』
すると半助さんは、顔を真っ赤にして
すうっと息を吸う。
土井「……A」
……聞こえた。
絞り出すような小さな声だったけれど、
しっかり聞こえた。
小さな声でも何でも良い………嬉しい。
胸が温かくなるかんじ。
『もう一回呼んで！』
土井「いや、あの」
『もー、いいでしょ？
初々しい恋人同士ってわけじゃあるまいし……』
土井「！！ぶっ……」
なぜ！
半助さんは盛大にこけた。
◆◇
隣「あらやだ半助、なぁにその鼻」
半助さんの家に着いた私たち。
"隣のおばちゃん"は半助さんを見るなり、
擦りむいた鼻の頭を指さした。
土井「いやぁ……ちょっと」
半助さんはばつが悪そうに頭を掻いた。
私も、半助さんが転んだのは驚いたけれど、
本当にどうしてだったんだろう。
隣「女の子連れてるんだから、しっかりしなさいよ」
半助「はは、仰る通りです。
あ、それで、大家さんは……」
隣「さっき出先から戻ったんじゃないかしら。
家賃、渡してきなさい」
半助「そうします。じゃぁえっと……少し待ってて」
そう言って、
半助さんは大家さんの家へと歩いていった。
そして私と隣のおばちゃんがここに残されたのだけれど……半助さんの姿が見えなくなった途端、
隣のおばちゃんは私の肩をガシッ！と掴んだ。
隣「Aちゃんって言ったわね……」
『は、はい』
隣「恋人……ではないの？」
『そんなそんな。昔からお世話になってるだけです』
そう……となぜか残念そうに、
隣のおばちゃんは溜め息を吐いた。
隣「そろそろ身を固めなさいって、
いつも言ってるのよ。
だけど、お見合いもいつも断られるし……」
『なるほど』
隣「今回も良いお見合い話があるんだけどね。
半助のことだから、きっと断るわね」
半助さんに良いお嫁さんが見つかったら……
うん！それは良いことだと思う。
それなら。
『おばさん！私に任せて！！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 228人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梅こんぶ(プロフ) - こんばんは！そして新作おめでとうございます！私も土井先生も大好きでいつもはなさんの作る小説＆ドキドキ＆恋愛＆いろいろ楽しみにしていました☆後お気に入り登録しました無理せずに頑張ってください！ (2021年11月21日 1時) (
レス) id: 067eb46949 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はな
| 作成日時：2021年11月20日 23時
