【ky】不運な幸運【実況者】

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一般人である私がキヨに会えるのは、キヨのイベントのみ。
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けれど、彼はあくまで"やりたいことをやる"スタイル。視聴者のためを思ってとか、視聴者と会いたいからイベントやります！っていうタイプじゃないため、滅多にイベントはない。
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過去にあったイベントは、私はまだ高校生で地方に住んでいたときに開催された。遠征なんて出来るわけもなく、泣く泣く諦めた。
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今度は絶対に諦めたくない。いつイベントがあっても絶対に行く。その気持ちが何よりも先行して、私は大学から上京した。
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キヨを好きになってから、私の人生で最も重要視すべきはキヨに関わることなのだ。
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そして上京して二年経った今年。やっと、やっとキヨが久々にイベントをやると告知した。
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もうそれは泣きながら応募した。やっとキヨに会えるって考えると、涙が止まらなかった。
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けれど、その涙は悲しみの涙に変わった。
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なんと、落選。何度確認しても落選。チケットをご用意できませんでした。
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そりゃ数日とは言わず、一ヶ月以上落ち込んでたと思う。だって上京の目的と言っても過言ではないキヨのイベントに行けないのだから。
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上京するためには国公立大学しか許さないと言われ、必死に勉強した。まだあるか分からないキヨのイベントだけを楽しみに。キヨに会うためだと思ったら苦じゃなかった。
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それが全て水の泡になったのだ。そりゃ落ち込む。
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けれど、神は最後に救いの手を伸ばしてくれた。
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私が落ち込んでいるとき、なんとなく登録していたイベント運営の単発スタッフを派遣する会社から一斉メールが来た。
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そこに書かれていたのは、単発スタッフの募集要項。
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日付、場所…全てがキヨのイベントと一緒だった。
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これ、絶対キヨのイベントだ。そう思った次の瞬間には、それに応募していた。
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お客さんとして推しを見れなくても、せめて推しのイベントのサポートをしたい。その一心だった。
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"行けるっちゃ行ける"という言葉の意味は、スタッフとして行けるということだ。

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