【無印】ジョーカーとルーラー (ページ5)

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イナズマジャパンを乗せた飛行機が、空を滑空し始めて5分ほど経ったある時、機内の一部は極めて居心地の悪い空間となっていた。

「そんでその時、この俺がフィールドに出て試合を動かしたってわけだ。」
「へ～、さすがあっきー」
「まぁな。てか、だからあっきーもやめろって。」
「あっきーな」
「あっきーなは本当にやめて」

不動とAの二つ前の座席に座っている佐久間は、後ろから不動の座席の背もたれを蹴り飛ばしてしまい気持ちで胸がいっぱいであった。

佐久間からすれば、Aは帝国に入ってからの知り合いである。クラスは違えど、共にサッカーをしてきた仲だ。
しかし、佐久間にとって不動は少なからず憎悪の対象であり、知り合いがそのような人間と仲良くしているというのは、些か堪えるものであった。

「なぁ、鬼道。どうして有島は不動を選んだんだ？」
佐久間は、後ろの宇都宮たちにも聞こえないよう、音量に気を付けて鬼道に問いかけた。

「…俺にも全く分からない。だが、あの有島が特定の人間と関係を持ったということは、何かしら意味がある筈だ。」
鬼道が腕を組みながら答える。

「確かにそうだな…帝国の生徒や他の学校の生徒から告白されても全て断ってきたような奴だもんな…」

この2人は有島Aのことを一体なんだと思っているのだろうか。
確かにAは受けた告白は全て断り、自身に好意を抱いている女子生徒とデートに行く日々を送っていた。
かといってその女子生徒の告白を受けるというわけでもなく、『ただデートをするだけ』という、遊んでいるのか純粋なのか、怪しいラインを攻めていた。

そんなAが誰かと付き合うなど、帝国の人間からすれば、到底想像することができないことなのである。
一年の冬休みの頃から半年間海外留学をし、その後国内を彷徨き回っていたということを考えれば、恐らくAと不動が出会ったのは今年度のフットボールフロンティアを開催していた頃ではないかと、鬼道と佐久間は考えた。

何せAが帝国学園に帰ってきたのはフットボールフロンティア終了直後のことであり、鬼道に至っては、Aが帰ってきていたということすら知り得ていなかったのである。

佐久間が、
「まさか留学先で趣味が変わったとか…？」
と恐る恐ると言った様子で鬼道に聞く

それに対し鬼道は、
「だとしたらあいつは留学先で何があったんだ…」
と、さすがにそれはないだろう。という声色で返した。