【無印】ジョーカーとルーラー (ページ2)

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「改めて…帝国学園サッカー部所属、有島A。年上あんまいないならタメでいっか、よろしく」

そこそこ元気に挨拶をしているAちゃんを横目で見る。

どうしてこうなった、と忌々しいまでの晴天に向かって叫びたい気持ちをぐっと堪えて、項垂れるようにベンチに座った。

有島Aは、半年ほど前に別れた俺の元カノである。
どちらが振った、とかそういう話ではなく、初めから期限付きで付き合っていたというだけのことだ。
俺が新帝国学園で好き放題していたのは、きっと多少なりとも知っているはずで。何より元帝国学園の生徒、源田や佐久間たちと交流があるということは、間違いなく当事者から聞いているはずだ。
自分の学校で好き勝手やっていたと知れば機嫌を損ねかねない性格の彼女が、こうも普段通りにしているということは、もしかしたらその事を知らない。という可能性もある。

「そういや不動は有島と知合いなんだな！なんでだ！？」

マジでこのキャプテンいっぺん黙ってくんねぇかな。
心底そう思ったが、殴りたい衝動をぐっと堪え、はぁ、とため息をついた。

片目だけ開いて、伏し目がちにAちゃんの方を横目で見る。
言っても良さそうな雰囲気を出しているので、気にすることなく言うことにしようと思った。

「あー…前付き合ってたんだよ、あくまでも前。」
「マジ？じゃあ今はフリーか。有島ー！俺とかどうよ！」
「綱海テメェブッ飛ばすぞ」
「うわこわっ」

先程言ったように、別れたのはあくまで期限がきたからで、どちらかが振ったわけじゃない。
要するに、俺はまた付き合うつもりでいる、という訳だ。
諦めが悪い事この上ない。

「有島、お前ずっと女癖が悪いとは思っていたが、まさか男を選ぶ目がないとはな…親が泣くぞ」
「シスコンのきどークンには言われなくないんだけど、第一女癖別に悪くないし。
女の子遊びが激しいだけだしわりと健全に遊んでたからセーフだっての。」
「アウト寄りのアウトだろ。」

そんな二人の言い争いを眺める。『とりあえず男を選ぶ目が無い』という部分を否定してほしかったが、どうやらそうはいかないらしい。
薄々俺も思っていたことだが、幼馴染みの目から見ても女遊びが激しいということは帝国学園でも酷かったのだろうかと、どうでも良いことを考える。

「女の子遊び？ってなんですか？」

小学生である宇都宮の素朴な疑問を投げ掛ける一言で、二人の言い争いは幕を閉じた。