ギミーラブ【龍宮寺堅】

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私は彼を止めるのに必死だった




「追いかけなくていいよ！龍宮寺くん！！」




「あ゛！？良くねえよ！！


お前が良くても俺が許せねえっつてんだろ！」




こ、怖い、、！！めっちゃ怒鳴られた…！

　


出会ってから初めて見る、彼の怒った姿




あまりの迫力に、自分のためだとわかってても泣きそうになった




でも私、わかるんだよ、あの男の子は多分…




「多分、ボール取りに戻って来ると思うから


このまま待ってあげよう」



.




.




.




思いの外、すぐにその男の子は帰ってきた




私たちがまだいるのを見て、なかなかこっちに来ない




しまいには泣き出してしまった




歩み寄って訳を聞くと、やっぱり私の思っていた通りだった





「…アイツらがやれって言ったんだよ


言うこと聞かないと、一緒にサッカーしてくれないんだ…」




胸を触る前の青ざめた顔




そしてその後ろに居た男の子たちの笑い声




薄々何かあるんじゃないかと思っていた




しかし、それを聞いても彼の怒りは収まっていなかった




「お前、んな理由で人の女に手出してんの？」




子供相手とは思えないセリフに思わずぎょっとする




それにそんな理由って…



ハブられ問題は子供じゃなくても重大だよ！(経験者は語る)




「この子すぐに謝ってくれたしさ


ね、龍宮寺くんも聞こえてたでしょ？」




私は必死に彼をなだめた




「悪いと思ってやってんなら尚更だろーが


自分裏切ってまでやることかよ」




うっっ…ど正論！！



確かにそうだけど…やっぱ相手は子供だし…
　



「…ごめんなさい…」




シュン、となっている男の子の前に彼はしゃがみ込む




「ホラ、歯食いしばれ」




「！？？」




えぇ！！待って暴力はさすがに！！！



　
止めようとするも、彼の手は既に男の子の頭の上だった




しかし私の心配とは裏腹に、その手はポン、と優しく降ろされる




無造作にグシャグシャ、と髪を乱して一言





「間違っても、自分に嘘つく生き方すんじゃねえぞ」




…か、かっけえ…



龍宮寺くん、グレートティーチャーかよ…




あまりのかっこよさに、通りかかった老夫婦でさえも釘付けになっていた




男の子は無言で頷く




君、もしかしなくても子供の扱いめっちゃ上手い…？

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