スターラブレイション 【吉沢亮】

episode34 ページ34

私には友達が少ない
芸能人を気取って高校生活を送ってきたからだ

あの子達と私は違う

そう思いながら体育のバレーボールでは先生と組んでパスをしていた


人見知りもあってかなかなかドラマの現場でも馴染めずに孤立していた




・




「…怖いの、いつかあなたを失って一人で今までどう生きていたか分からなくなるのが…」


『俺は絶対離れないよ。』
「本当に？」
『距離は保証できない。出張で何日かは空けなければいけないだろうし

…ただし心は離れないって約束する。俺からは離れないって』



今の晩婚化が進み、10組いたら4組の夫婦が離婚する時代にこんな台詞を吐く男がいるのか

実際に言われたなら私はどうだろう
でも嬉しいんだ
好きな相手と結婚出来ることなんてまずない
本当に好きな人とは結婚出来ないのが現実

2番目に好きな人と結婚するから離婚率が高くなるのは容易に想像できることだ


それほど本当に好きな人と結ばれることは難しい



「…約束する」
『本当に可愛げないね。』


「そんな私に惚れたくせに」


フフッと笑い合い、互いの視線が交わる
静かな夜の公園と共に私達も一風景となる


『…愛してる。』



吉沢の大きな手が私の頬に重なり
ゆっくりと唇を重ね合う




・




・




パチパチ…


クランクアップ後、監督から花束を戴いた
その瞬間感極まって涙が溢れてしまいせっかくの化粧もグシャグシャだ



MG:もー…
「グスッ…うー…」


初めての主演ドラマ
街中やテレビで予告が流れる度に自分とは思えなかった
まるでドッペルゲンガーが存在しているのかとも疑った



テレビの中に写っているのは私なんだ



"打ち上げは焼肉予約しますのでー！"
"皆さま本当にお疲れ様でした"



挨拶が終わり、これからマネージャーと自宅でプチ打ち上げ。



MG:吉沢さんに挨拶しなくていいの？
「…してくる」


花束を抱えたまま挨拶回りをする吉沢の元へ駆け寄った


「吉沢、」
『…おーお疲れ』


銀魂の撮影も終わったし、こいつと毎日顔を合わせるのも今日が最後だ


…虚しい？
いや、違う
嬉しいわけでもない
仮にも3ヶ月間苦労を共にしてきた相手だ

…


…


寂しいが一番似合うなんて、どうかしてる。



「…付き合ってくれてありがとう。おかげで次の恋愛ものもやっていけそう。」


『…ならよかった』

…違う
こんなこと言いにきたわけじゃない






『…ん』
「…これ…」


『今度は破くんじゃねえぞ？』


…吉沢の家の住所？

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