【ジョジョ】ミヤコグサを忘れない【５部】

正しい道�� ページ29

ーー父さん。




呼び掛けても返ってこない墓前で頰に流れるのが雨なのか涙なのかもわからなくなったとき、影が自身を覆い頭上に降り注ぐ雨粒が止んだ。
振り返るとAが開いた傘をオレに差し出して立っていた。


「すまない、もう戻ろうと思ってた……」

咄嗟に、乾笑いして思ってもいないことを言ってしまった。

『あなたの気持ちが分かるとは言わない……今すぐ忘れろとも言わない……だけど、あなたはここで立ち止まってしまってはダメよ』

未だにしゃがみ込んだままのオレを立ったまま見下ろして言う。

立ち止まってはダメ、か……
その言葉に反発するように父さんの最期の言葉が鮮明に蘇る。




ーーブローノ、学校に行かせてやれなくて……すまなかったな……おまえには辛い思いばかりをさせて……




これを聞いた瞬間、オレは、自分の選択が正しいものだったのか、一体いつから間違えたのか、分からなくなった。
自分の正義だと信じて疑うことなく人を殺めてきた両手を見下ろすとまた嗚咽が込み上げてくる。


「父はッ……最期、オレに謝ったんだ……学校に、行かせてやれなくて、すまないって……オレは、ギャングなんかにならず学校に行くべきだったのだろうか……そしたら、そしたら父さんは……ッ」


笑顔で旅立ってくれたのだろうか。


抱えきれなくなった思いが言葉になって溢れ出す。



父の最期の悔しそうな、申し訳なさそうな、苦しそうな顔を思い出す。
元々口数少なく、あまり笑うことのない父だったが、最期くらいは悔いなく旅立ってほしかった。



自分がギャングという道を選ばなかったら、もしかしたら……

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