虫の知らせ�� ページ26
東の空が白み、もう何杯目かわからないコーヒーを淹れようと立ち上がったとき、玄関の鍵を開ける音がした。
そのまま玄関に向かうと待ち望んでいた人物がちょうどドアを開け入ってきたところだった。
「A……もう起きてたのか。昨日はすまなかった」
玄関に出迎えに行った私に驚きながら昨日の詫びをする。怪我はしていないようだが足元はフラフラと覚束ない。
"もう"起きていた、というよりは"まだ"起きていた、だが、そんなことは今はどうでもいい。
彼も寝ていないのだろう。顔色が悪く、瞳も虚ろでひどく淀んでいた。
『いいえ、私なら大丈夫。……コーヒー、飲む？』
「ああ、もらうよ。ありがとう」
ソファに腰掛けるのを横目で見届けながら、キッチンへ向かう。力なく笑う姿がどうしようもなく痛々しかった。
『……どうぞ』
ただ何もない宙を見つめたままの彼に淹れたてのコーヒーカップを手渡した。また力なく笑いカップを受け取る。
私は自分のカップを両手で包み、その隣に腰掛けた。
なにかあったのは明白だが、自分から話し出すまでは待つことにした。
彼は膝に肘をつき両手で包むように持ったカップの中身をただ見つめている。
私はその姿を斜め後ろから見守りながら、ゆっくりとコーヒーを飲み進めていた。お互いに何も言葉を発することなく、ただ時間だけが過ぎていく。
「あ……A、仕事！」
『今日は日曜日よ』
「そうか……」
すっかり日が昇り、部屋が朝日で満たされた頃彼がハッとして焦りながら私の方を振り向いた。日曜、と聞くと安堵したようにまた同じ姿勢に落ち着く。
『それと1週間、作業を空けなければいけないの。だから1週間仕事はないわ』
「そうか……よかった……ちょうどいいな」
私の仕事の予定を聞き、同じ姿勢のままひとりごとのように言った。それからひとつ大きく息を吸い、意を決したように重い口を開く。
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おまきまお(プロフ) - 。さん» それこそ数多の素敵な作品の海から見つけ出して下さってありがとうございます！！本当にお言葉ひとつひとつが嬉しすぎて。様に読んで頂けたことがわたしは何よりも嬉しいです。書き上げて良かった…！！(泣)そしてチャララティギルティ…語呂がよすぎて思わず笑いました (2021年1月28日 3時) (
レス) id: e365e09243 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - 数多くある作品の中で、この作品に出会えた事が何よりも嬉しいです…。夢主ちゃんの心の強さやブチャラティの優しさとか、2人の距離感がとても好きでした。本当に、素敵な時間をありがとうございました！チャララティ…ギルティですね(唇噛み締め) (2021年1月25日 2時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
おまきまお(プロフ) - さくらんぼ＆チェリーさん» 感想ありがとうございます！そうなんです、このまま原作通りにいってしまうとどうしてもハッピーエンドにはならないんですよね……わたしもなんとか夢主ちゃんを幸せにしてあげたいので試行錯誤しているところです。また暇つぶしのお供に読んで頂けたら嬉しいです。 (2019年9月15日 0時) (レス) id: e365e09243 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ＆チェリー - この後ブチャラティは死んじゃって、死んだのを知っても悲しむんだろうな。それとも、夢主ちゃんはそれを知らずに待ち続けるんですかねぇ･････？どう転んでも私の頭じゃハッピーエンドにならない。つながらない･････。すごく素敵な作品でした。 (2019年9月13日 17時) (レス) id: ced51d468f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おまきまお | 作成日時：2019年5月25日 16時
