質疑応答�� ページ13
いくつめかの駅で降り、少し歩くと海とネアポリスの街を見渡せる広場に辿り着いた。
『なんて美しいの……』
そこから見える景色があまりにも美しくて、思わず母国語とともに感嘆の息が漏れる。
「今のは日本語か？」
『あ……ごめんなさい。あまりにも美しくて。日本語で美しい、って言ったの』
目の前に広がる景色に見惚れていると、つい隣の彼のことを忘れてしまう。
知らない言葉を目の前で使われると急に不安になるのはよく知っていた。
「構わない。綺麗な響きだな……イタリアに来てからどれくらいになる？」
彼は気を悪くした風ではなく、目を細めて優しい笑みを浮かべた。
『えーと……4年、かしら』
「なるほど、イタリア語が上手いわけだ。最後に里帰りしたのは？」
『こっちに来てからは一度も帰国してないわ』
「そうか……夢に真っ直ぐなんだな」
気付けば4年経っていた、というのが正直なところで、自分には帰国を催促するような間柄の人はいないし、待ってくれている人もいないだろう。
それを忘れるように、いわば現実逃避的に勉強に打ち込んでいたのだ。
それを夢に真っ直ぐ、なんて綺麗に言い換えられたら、なんだかむず痒くて瞳が揺らぎそうになるのを慌てて景色へと戻した。
『あの、あなたは？この辺が地元なの？』
景色に目を向けたまま話を逸らす。
「出身はもっと海沿いの漁村だ。父親が漁師をやっていた」
『今は？』
予想外の答えが返ってきた。
完全にここら一帯の地主か権力者の家の出だと思っていたからだ。
そして、彼が過去形で話したのが引っかかってなんのけなしに聞き返した。
「入院している。5年前、大怪我を負って今は体が不自由なんだ」
『そうだったの……。立ち入ったことを聞いてごめんなさい』
これも予想外だった。
なんのけなしに聞いてしまったことを後悔するが、彼はそんな私の表情を見てハハッと軽く笑い飛ばした。
「構わない、気にするな。Aからの質問なら喜んでなんでも答える。あとは何が聞きたい？」
私が気にしないように、なのだろう。
穏和な笑みを浮かべて冗談めかして言う。
そう言われれば、いつも彼からの質問に答えてそこから彼が話を展開してくれるおかげで私から質問をしたのは今のが初めてかもしれない。
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おまきまお(プロフ) - 。さん» それこそ数多の素敵な作品の海から見つけ出して下さってありがとうございます！！本当にお言葉ひとつひとつが嬉しすぎて。様に読んで頂けたことがわたしは何よりも嬉しいです。書き上げて良かった…！！(泣)そしてチャララティギルティ…語呂がよすぎて思わず笑いました (2021年1月28日 3時) (
レス) id: e365e09243 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - 数多くある作品の中で、この作品に出会えた事が何よりも嬉しいです…。夢主ちゃんの心の強さやブチャラティの優しさとか、2人の距離感がとても好きでした。本当に、素敵な時間をありがとうございました！チャララティ…ギルティですね(唇噛み締め) (2021年1月25日 2時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
おまきまお(プロフ) - さくらんぼ＆チェリーさん» 感想ありがとうございます！そうなんです、このまま原作通りにいってしまうとどうしてもハッピーエンドにはならないんですよね……わたしもなんとか夢主ちゃんを幸せにしてあげたいので試行錯誤しているところです。また暇つぶしのお供に読んで頂けたら嬉しいです。 (2019年9月15日 0時) (レス) id: e365e09243 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ＆チェリー - この後ブチャラティは死んじゃって、死んだのを知っても悲しむんだろうな。それとも、夢主ちゃんはそれを知らずに待ち続けるんですかねぇ･････？どう転んでも私の頭じゃハッピーエンドにならない。つながらない･････。すごく素敵な作品でした。 (2019年9月13日 17時) (レス) id: ced51d468f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おまきまお | 作成日時：2019年5月25日 16時
