二十一箇所目 ページ22
Aside
「……ルフィ？」
「……んあ？」
「もしかして眠いの？」
ルフィの声が途切れ途切れになり始め、あたしの肩に何度もルフィの頭がぶつかる。無理して起きていなくてもいいのに。
「いいよ、寝ても。落ちないように支えておくから」
「まだ寝たくねーよ……Aともっと……話してえ……」
「ならまた明日話せばいいよ、何かあれば起こすから」
ルフィに向き直り、背中をトントンとしながらそう言うが、本人は余程寝たくないらしく首を横に振って必死に起きている。このままにしておくのも忍びないため、あたしはルフィと共に甲板へと降りてからルフィを寝かせるべく横になるよう諭す。
「ねえルフィ、子守唄歌ってあげようか」
「子守唄……？」
「そう、よく眠れるように歌ってあげる。だから今日はもう眠りな、朝になったらまた話そう」
頑なに横にならないルフィを抱き締め、背中をトントンとしながらあたしは静かに歌う。もう誰にも聴かせることは無いと思っていた、小さい頃の思い出の子守唄。
「……」
「〜〜〜♪」
あたしに抱き着きながら、ルフィはゆっくりゆっくり眠りにつく。頭を撫でてやると、目を閉じたまま嬉しそうに笑って寝息を立て始めた。
「……気持ち良さそう、いい夢見てるといいな」
「むにゃむにゃ……A……」
「おやすみルフィ。何かあってもあたしが守ってあげるから、安心して眠ってね」
そう言ってあたしは静かに立ち上がり、毛布をかけ直してやる。夜の海は特に冷えるから、ちゃんと暖かくしておかないと風邪を引いてしまうだろう。
「そうだ、サンジの為に朝御飯でも用意しておこうかな。どうせならみんなの分あった方が良いだろうけど……じゃあサンジにはデザート付きにしようかな」
思い立ったあたしは、キッチンへ向かうと早速準備を始める。サンジほど上手くは作れないが、簡単なホットサンドなら用意はできるだろう。もうすぐ朝になるし、出来上がる頃にはみんな起きてくる。
「……よし、こんなものかな。サンジにはデザートにレアチーズケーキ作ったし、あとはみんなが起きるのを待つだけかな」
無事に全員分を作り終え、あたしはルフィの様子を見に行く。いつの間に起きていたのか、キョロキョロと辺りを見回すルフィはあたしを見ると飛び付いてきた。
「おはようルフィ、もう起きたの？」
「A！ どこいってたんだよー！」
「朝御飯作ってたんだよ、みんなが起きたら食べてね」
「Aが作ったのか！ 今食う！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1630人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポプリん(プロフ) - 翠さん» 翠様、コメント下さりありがとうございます！ 身に余るお言葉の数々、痛み入ります。本当にありがとうございます！ 次回は短編に挑みたいと考えておりますので、是非また楽しんでいただけたらと思います！ (2023年3月28日 8時) (
レス) id: 7e262a9db9 (このIDを非表示/違反報告)
ポプリん(プロフ) - まおさん» まお様、コメント下さりありがとうございます！ 応援までしていただけて本当に嬉しいです！ 素敵なアイデアありがとうございます♪シチュ溜めをして短編にしようと思うので、他にもアイデアあれば是非教えてください！ (2023年3月28日 8時) (レス) id: 7e262a9db9 (このIDを非表示/違反報告)
ポプリん(プロフ) - きてぃーさん» きてぃー様、コメント下さりありがとうございます！ 遂に完結させることが出来ました、応援して下さり本当にありがとうございました！ (2023年3月28日 8時) (レス) id: 7e262a9db9 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても素敵なお話で前から応援させていただいていました。とても好きな作品でした。お疲れ様でした。 (2023年3月27日 13時) (レス) @page50 id: 090a3776e1 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 更新楽しみにしてました！！イチャイチャや嫉妬する姿見てみたいです（ ; ; ）🌟 (2023年3月27日 3時) (レス) @page50 id: 2c8060619c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ポプリん | 作成日時：2022年8月14日 18時
