unexpected *136 ページ4
ーーハンジsideーー
リヴァイにAの様子を見に行かせた数分後、施設内に銃声が鳴り響いた。
急いで音が鳴った方へ向かう。──Aがいる部屋だ。
元いた場所から特別離れていた訳ではなく、すぐに着いた。
部屋の前には見張り担当していた兵士が目を見開いて立ち尽くしている。
ハ「どいて!」
彼を押し退けて部屋の中に入る。
目を疑った。
ハ「──リヴァイ。きみ」
リ「ハンジか」
こちらを背にして立っていたリヴァイが、振り返る。
その足元には血溜まりと、そこに横たわるAの姿があった。
ハ「なんで……なんで!!?」
あまりの光景に、リヴァイに掴みかかる。
まだ脚が完治していないとは言え、そんなことを忘れてしまうほど強く乱暴に掴みかかった。
リ「落ち着け」
ハ「落ち着けるか!何をしたのか分かって、なんで、何で……」
リヴァイの右手には、ニック司祭の『付き添い』をしてもらっていた時の拳銃が握られていた。
あのまま持たせておいたのが、ここで裏目に出るなんて──
ハ「ん?」
リ「思い出したか」
リヴァイが拳銃を掲げる。
リ「お前が持たせた麻酔銃だろ、これ」
ハ「…………そ、うでした」
そう、この拳銃、誤ってニック司祭を殺してしまわないように実弾入りの拳銃と見せかけただけの麻酔銃だった。
あまりの光景にうっかり忘れてしまっていた。
ハ「い、いやでも!この血は……!?」
リ「いいからとっととこいつを医務室へ運べ。腕の手当と、……無意味かもしれんが栄養剤を用意しろ。話は追ってする」
ハ「あ、ああ……」
改めてAの様子を確認すると、銃傷よりも先に腕の傷の酷さが目に入った。
ベッドの方に目をやると、シーツに驚く程大きな血痕があった。
そっと抱きかかえると、予想以上に身体が痩せ細っていることが分かった。
血色の悪さはもちろん、表皮もボロボロで、今にも死んでしまいそうな姿だ。
それなのに、表情は安堵しきっていて、まるで優しい夢でも見ているかのようだった。
リ「ハンジ」
リヴァイの声に顔を上げる。
──どうして君の方が、そんなに苦しそうな顔をしているんだ?
リ「……Aは、もう……」
リヴァイはぽつりとそう言って、それきり口を閉ざしてしまった。
ハ「……とりあえず、後で話は聞かせてもらうよ。今はAを運ぶのを手伝って」
見張り役の兵士に口止めをして、二人でAを抱えて医務室へと向かった。
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る み - 初コメ失礼します!本当に素敵な作品でした…!原作との進みも想像しやすく、夢主ちゃんの境遇からいろんな心情が伝わってきてほんっとに惹き込まれまくりでした。年内にこの作品に出逢えたこと、とっても幸せです! 素敵な作品ありがとうございました! (2021年12月30日 4時) (レス) @page22 id: f866be44e4 (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - S0sfwgnYO3wIu0fさん» ありがとうございます。読んでくださって本当に嬉しいです! 出版はまだ未定なのですが、何かありましたらお知らせします。応援、本当にありがとうございました!! (2020年12月2日 2時) (レス) id: 47b3da0d46 (このIDを非表示/違反報告)
S0sfwgnYO3wIu0f(プロフ) - 完結おめでとうございます。陰ながら応援して読ませていただいていました!出版されるのであれば、是非とも購入したいです^^* 執筆お疲れ様でした! (2020年11月28日 21時) (レス) id: 512a94ce52 (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - あ ま ね 。さん» ありがとうございます!!素敵といってもらえて本当に嬉しいです。最後まで読んでくださって、ありがとうございました!! (2020年11月16日 22時) (レス) id: 47b3da0d46 (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - 完結おめでとうございます!!とても素敵なお話でした!! (2020年11月9日 14時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚音 | 作成日時:2019年1月20日 2時