unexpected *133 ページ48
噛み付いたまま、荒い呼吸を繰り返す。
歯が肉に食い込む感触をまざまざと感じた。
痛い。痛いけど、それよりも。
あ「ーーっふ」
食べたいのだ、何でも良いーー自分でもいいから!
メリメリと肉が乖離していく音がする。
まもなく、口の中に鉄の味と乾燥した表皮に覆われた肉の感触が広がった。
咀嚼もそこそこに、飲み込んだ。
あ「〜〜っあ、ぃ、い……!」
激痛が右手を襲った。
しかし体は歓喜していた。
痛覚も、感情をも上回るそれが満たされたと。
ーーもう手遅れだと思った。
私はきっと、どうしようもない化け物で、誰の役にも立てない、期待に応えられない、生きていても仕方ない、むしろ害悪な存在に成り下がってしまったんだと、悟ってしまった。
とめどなく血を流す右手を見て、無性に笑えてきた。
あ「巨人だ」
私はきっと小さな小さな巨人だったのだ。
人間と暮らすことはできない。だって彼らを食べたいから。
泣きながら、笑いながら、さらに腕に食いついた。
自分を食料にすることを覚えた私は、ひたすら食事を続けた。
見張りの兵士を食べるより、エレンやハンジさんを食べるより、ーーリヴァイさんを食べるより。
きっと、ずっといい事だと思ったから。
・
・
・
それなのにーー。
リ「おい、A。俺だ」
ーーどうして世界は、あなたは、放っておいてくれないの?
ーー▼
続編に続きます。
2425人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚音(プロフ) - サンゴさん» お返事遅くなってすみません!ありがとうございます!ゆっくりとですが完結まで書き終えられるように頑張ります!コメントありがとうございました!! (2019年1月20日 3時) (レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)
サンゴ - 続きめっちゃ気になりますっ!! (2019年1月17日 22時) (レス) id: f7865afa83 (このIDを非表示/違反報告)
サンゴ - 話が深くて読んでいて面白いです! (2018年11月19日 18時) (レス) id: f7865afa83 (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - 赤間利衣さん» あけましておめでとうございます!閲覧頂きありがとうございます!更新頑張ります! (2018年1月2日 1時) (レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - ちさきさん» あけましておめでとうございます!コメントありがとうございます、更新頑張ります! (2018年1月2日 1時) (レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柚音 | 作成日時:2014年5月20日 19時