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unexpected *114 ページ29

外の音は何一つとして聞こえなかった。


檻の中の人々の、弱々しい呼吸音だけが、唯一耳が拾える音だった。


自分が出来ることは何も無いと分かると、起きている必要が無くなったのか、気が付いたら意識が途切れていた。























ーーゴトンッ!


あ「っ!?」


大きな音がして、目が覚めた。


ーーガタタ、ガコンッ


あ「何…」


数人、私と同じように目を覚まし、周囲を不安そうに見回す。


といっても、何が見えるという訳では無いが。


しかし、音が止むと、檻がーー檻ごと、移動しているのが分かった。


大型車か何かに乗せられたのだろうか。


あ「…あ、チサ…」


チ「…お、ねぇ、ちゃん?」


音が聞こえたのか、チサも目を覚ましたようだ。


ガスの効果がまだ残っているのか、手足がうまく動かないようだった。


あ「チサ、チサ、大丈夫?」


チ「お姉ちゃん、お姉ちゃん」


あ「チ…」


チ「お姉ちゃん、どこ?」


ーーえ?


辺りをキョロキョロと見回すチサ。


ーーなんで。


あ「目の前に…いるじゃない!」


ばっちりと、目が合っている、はずなのに。


チ「…え?見えない、暗い、真っ暗で、何にも見えないよ…」


あ「……!ここに、ここにいる!」


冷たい手を握って、存在を知らせた。


ーーなのに。


チ「……お姉ちゃん、待って、本当に、どこにいるの?」


あ「…!?ここに…、チサの目の前!今、右手を、握ってる!」


チ「…手?……?」


あ「チサ…うそ……」


チ「見えないよ…分かんない、何にも分かんない。音しか…聞こえない…。手なんて…何も掴めないよ…」


あ「ここ!ここに居るってばぁ!」


チサの両頬を、両手で包んだ。


なのに、全く反応が無い。


ーー失明、して。


触覚さえも、失った?


あ「…………ち、さ…」


チ「こわい、ここどこ、おねえちゃぁ…」


あ「チサ…チサ……」


馬鹿みたいに、名前を呼び続けるしか、出来なくて。


やるせなさに涙が出て、チサが不安そうに私を呼んだけど、泣き声で弱々しい返事しか返せなかった。

unexpected *115→←作者から*レス



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柚音(プロフ) - サンゴさん» お返事遅くなってすみません!ありがとうございます!ゆっくりとですが完結まで書き終えられるように頑張ります!コメントありがとうございました!! (2019年1月20日 3時) (レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)
サンゴ - 続きめっちゃ気になりますっ!! (2019年1月17日 22時) (レス) id: f7865afa83 (このIDを非表示/違反報告)
サンゴ - 話が深くて読んでいて面白いです! (2018年11月19日 18時) (レス) id: f7865afa83 (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - 赤間利衣さん» あけましておめでとうございます!閲覧頂きありがとうございます!更新頑張ります! (2018年1月2日 1時) (レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - ちさきさん» あけましておめでとうございます!コメントありがとうございます、更新頑張ります! (2018年1月2日 1時) (レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚音 | 作成日時:2014年5月20日 19時

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