其の陸 冨岡さん５ ページ7
だけど………
逆にいえば師範に頼りにされてないともとれる。
「悔しい！！」
誰もいないから走りながら自分の心の内を思いっきり吐き出すため独り言を叫んだ。
つもりだった……
「なにが悔しいんだ？」
「え゛……」
独り言に返事があって私はすっとんきょうな声を上げた。
背後から声がして振り返ると私の少し後ろを冨岡さんが走っていた。
考え事をしていたせいか追いかけられていたことにも、気配にも全く気が付かなかった。
これが夜で、相手が鬼なら危なかったところだよ。
油断しすぎ、背後がらあき、そんなんだから冨岡さんがいつまでも心配するんだ。
「冨岡さんどうしてここに…っ！」
「胡蝶の屋敷に行くと言っていただろう」
「あ、そうか…………いえ、そうじゃなくて、なんで冨岡さんが付いて来てるのか聞いて…………っ！」
確かにしのぶちゃんの所に行ってくると私は言ったけど。
でも、それが冨岡さんがついてくる理由にはならないと思う。
だって正直に言って医療については冨岡さんがしのぶちゃんのお役に立てるとは思えない。
師範にたいして失礼きわまりないとは思うが事実である。
なのに蝶屋敷に向かっているということは、まさかーー
私の屋敷に来たのも、私の
そう思ったとたん、私は足を急停止させた。
そんな私に合わせるように冨岡さんも立ち止まった。
悔しいことに少し呼吸の乱れている私とは反対に冨岡さんは息１つ乱してなかった。
「どうした？」
突然静止した私を不思議そうな顔で見下ろしてくる蒼の瞳なんか見向きもしないで冨岡さんの羽織の上からサワサワとその体のいたるところを触った。
家に来た時に用という用はないと言ってはいたし、冨岡さんのことだから私の思い違いだと思うけど、それでもその万が一があったらと思うとそのままにはしておけなかった。
「おい、」
いつも表情を変えない冨岡さんが動揺をみせているのは声で分かった。
自分でも人目もはばからず大胆な行動に出てるなとは思う。
男の人の体をこんな風に触るなんて。
だけど、それに気付かないふりをして私は行為を続けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜花(プロフ) - 風花さん» 改訂版は視点を変えたり、煉獄さんの出会いを早めたりと、色々と修正してますので新作として読んで頂ければと思います。風花さんを始め、既存の読者様にはご迷惑をおかけしておりますがご理解頂ければ幸いです(^^) (2021年6月24日 21時) (
レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 風花さん» こんばんは風花さん(〃ω〃)分かりにくくてすみません(><)改訂前の物は続きに行き詰まっていることもあり更新を停止しております。この先の更新は改訂版のみになります。 (2021年6月24日 21時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
風花(プロフ) - 桜花さんこんばんは(*’ω’*)お話の更新につきましてですが、これからはこちらのみという形でしょうか？理解力があまりなく把握しきれていないのですが、これからも楽しみにしております。 (2021年6月24日 19時) (レス) id: 0f5aae934e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜花 | 作成日時：2021年6月2日 7時
