其の肆拾陸 冨岡さん20 ページ47
そうは思うのに、疲労と減った感じのしない鬼の数に限界を感じだした。
気付けば、私はまた冨岡さんの名前を心の中で呼び続けていた。
(冨岡さん……)
隙を見せたら私だけじゃない、
背後をとられないように、みんなから離れないように、舞うようにくるくると方向転換しながら鬼を斬り続けた。
(冨岡さん…っ)
みんなが待ってたのは私じゃないんです。
柱である冨岡さんなんです。
早く姿を見せて安心させてあげてください。
みんなを助けて!
みんなを守って!
(冨岡さん…!)
血鬼術さえ使われなければなんとかなるんだけど。
剣技は必須で、でも体力の限界もあってそう何度も出せない。
私、まだまだぜんぜん弱いじゃん……
こんな連中相手に技を連続で出せないなんて。
出したら体がもたない。
もちこたえたいけど……
そろそろ本気でやばい……
(すみません冨岡さん……もう……)
刀が重い。
「桜!!」
一瞬。
冨岡さんの声が聞こえたような気がした。
幻聴
ーーこれは本当に危ないかもしれない、そう思うほど私は心身共に疲れ果てていた。
瞬間、体の力が抜けてガクリと片膝をついてしまった。
(やばいっ……)
仲間が焦ったように私の名前を呼ぶ声だけが脳に響いて、ああこれはいよいよ危ないんだなと思った。
目の前に数体の鬼が迫ってくるのがゆっくりに見えて。
もうだめだと、諦めかけたその時。
私の前にいた鬼の後方から短い悲鳴が上がったと同時に数体の頚が吹き飛ばされたのが見えた。
(……………なに?)
鬼も何が起きたのかわからないようで、私のことなど忘れたように、そっちに釘付けになっている。
何かを感じ怯えた風な鬼が、道を作り出すように私のほうに少し後退しつつ左右に別れていく。
そこから見えた光景、頚を斬られた鬼が塵となり崩れ落ちていく様を私は呆然と見ていた。
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桜花(プロフ) - 風花さん» 改訂版は視点を変えたり、煉獄さんの出会いを早めたりと、色々と修正してますので新作として読んで頂ければと思います。風花さんを始め、既存の読者様にはご迷惑をおかけしておりますがご理解頂ければ幸いです(^^) (2021年6月24日 21時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 風花さん» こんばんは風花さん(〃ω〃)分かりにくくてすみません(><)改訂前の物は続きに行き詰まっていることもあり更新を停止しております。この先の更新は改訂版のみになります。 (2021年6月24日 21時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
風花(プロフ) - 桜花さんこんばんは(*’ω’*)お話の更新につきましてですが、これからはこちらのみという形でしょうか?理解力があまりなく把握しきれていないのですが、これからも楽しみにしております。 (2021年6月24日 19時) (レス) id: 0f5aae934e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2021年6月2日 7時