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其の参拾陸 煉獄さん2 ページ37

店先のいすを借りて口いっぱいに広がる甘味を堪能していると、ふっと顔に影が落ちた。

正面に立つ人の服が隊服のようだったので顔を上げると見知った人物は快活な表情で私を見下ろしていた。



「桜か、今日は非番か?」

「煉獄さん!お疲れ様です!はい!今日はお休みをもらってます!」



燃えるような瞳と髪色、柱の名に似合う炎を連想させる羽織。

炎柱、煉獄さんの登場に私は立ち上がり背筋を伸ばした。

煉獄さんとは、何度か応援に駆けつけてくれた時と(この時、義勇は別の任務中)、冨岡さんに付いて回った時に姿を見たぐらいで、あまり面識がない。

それなのに名前を覚えていてくれるなんて感激だった。



「近頃、君の評判をよく耳にする。頑張っているようだな」

「ありがとうございます!」



どんな評判が出回ってるか気になるとこだけど、煉獄さんの表情や言葉からして悪い内容じゃなさそうだ。

冨岡さん以外の柱に褒められたことは、私の自信とやる気にも繋がっていた。





煉獄さんとは普段こうして会話をする機会があまりないので話題がつきなかった。

自然の流れで煉獄さんが私の隣に腰をかけたので少し寄って(あいだ)を空けた。

芋を食べることも忘れて煉獄さんとの会話を楽しんでいると、ジッと手元に視線を感じた。

煉獄さんの視線が熱いほど蒸かし芋にそそがれているのだ。



「もしかして、お好きですか?」

「うむ。すまない、さきほどから匂いが気になってつい……」



わかるわかる。

私もこの匂いにつられて店に来たのだから。

お芋が好きな人なら余計に我慢できるはずもないと思う。

私は袋の中から、冨岡さんと一緒に食べようと思っていた自分の分を煉獄さんに差し出した。



「これ食べてください」

「だが、これは持って帰るつもりだったのだろ?」

「はい。でも、私は今一つ食べてるので大丈夫です。自分に甘くて太るとわかってても、つい余分に買ってしまうんですよね。煉獄さんが食べてくれたら諦めもつきそうですし」



だから、『遠慮なく食べてください』と言うと煉獄さんは『ありがとう』と言って芋を私の手から受け取った。

其の参拾漆 煉獄さん3→←其の参拾伍 煉獄さん1



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桜花(プロフ) - 風花さん» 改訂版は視点を変えたり、煉獄さんの出会いを早めたりと、色々と修正してますので新作として読んで頂ければと思います。風花さんを始め、既存の読者様にはご迷惑をおかけしておりますがご理解頂ければ幸いです(^^) (2021年6月24日 21時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 風花さん» こんばんは風花さん(〃ω〃)分かりにくくてすみません(><)改訂前の物は続きに行き詰まっていることもあり更新を停止しております。この先の更新は改訂版のみになります。 (2021年6月24日 21時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
風花(プロフ) - 桜花さんこんばんは(*’ω’*)お話の更新につきましてですが、これからはこちらのみという形でしょうか?理解力があまりなく把握しきれていないのですが、これからも楽しみにしております。 (2021年6月24日 19時) (レス) id: 0f5aae934e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜花 | 作成日時:2021年6月2日 7時

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