検索窓
今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:69,023 hit

其の弐拾 義勇視点9 ページ21

治癒が終わったなら、さっさと桜と隊士を引き離してやりたくなった義勇。

一人一人、丁寧に声をかけ体に触れ治癒を施す桜と、桜に触れられる頬を染める隊士を見せられ義勇の我慢の限界はとうの昔に超えていた。

我慢しているのは、まだそういう仲でないこと、相手が怪我人だからだ。

だからこそ、治癒が終わったと同時にもう用はないと言わんばかりに桜の細い腕を掴み足早に病室を出た。

だけど、そんな義勇の気持ちなど知るよしもない桜の戸惑いがパタパタと走る足音から伝わってくる。








病室を出て廊下の中ほどでしびれをきらした桜に、ついに腕を振り払われた。

そう強く掴んではいなかったので案外簡単に振りほどかれてしまった。

目の前の少女は義勇と少しの距離をあけてこちらを見ていた。

その表情は文句を言いたそうだ。



「冨岡さんどうしたんですか?」

「………」



桜にしては珍しく不機嫌なまでに問い詰めるような口調だ。

なぜ早々に病室を出たのかわからないといった表情をしている。

ちゃんと挨拶したかったのに、と不満げに呟いたのが本音だろう。

自分がいろんな男から好意を寄せられているなんて思いもしないし、それに対して義勇が不快に思っていることなど桜は露ほども知らないのだろう。

自分のものでもないのに、湧いてくるこの感情に名前をつけるなら独占欲。

ただ、今の桜に言っても困らせるだけだし戸惑わせるだけだと思った義勇はそれを隠して無言を貫いた。



「あの、なにかありました?」



今度は探るような眼差しで問いかけられた。

べつに桜に対してなにかあるわけではないがーーいや、もう少し自覚してほしいというか意識してほしいというか。

桜に対してそう思っていると、



「もしかして、急ぎでお館様に呼ばれました?」



突拍子もない台詞に義勇は目を見開いた。

其の弐拾壱 義勇視点10→←其の拾玖 冨岡さん8



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
135人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

桜花(プロフ) - 風花さん» 改訂版は視点を変えたり、煉獄さんの出会いを早めたりと、色々と修正してますので新作として読んで頂ければと思います。風花さんを始め、既存の読者様にはご迷惑をおかけしておりますがご理解頂ければ幸いです(^^) (2021年6月24日 21時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 風花さん» こんばんは風花さん(〃ω〃)分かりにくくてすみません(><)改訂前の物は続きに行き詰まっていることもあり更新を停止しております。この先の更新は改訂版のみになります。 (2021年6月24日 21時) (レス) id: 12e45606b3 (このIDを非表示/違反報告)
風花(プロフ) - 桜花さんこんばんは(*’ω’*)お話の更新につきましてですが、これからはこちらのみという形でしょうか?理解力があまりなく把握しきれていないのですが、これからも楽しみにしております。 (2021年6月24日 19時) (レス) id: 0f5aae934e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:桜花 | 作成日時:2021年6月2日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。