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IN side


今日は部活が無かった山田がまた俺を送ってくれるので一緒に帰る。

駅に向かう道中早めに映画の試写会の話に区切りをつけてしまい。ちゃんと切り出さないと。

試写会のハガキを山田の手に押し付ける。


「これ、やるよ。来週の彼女と行けよ。」


なんだか顔が見れなくてそのままサクサクと山田を置いて歩きだす。

これは、言いたくない。でも……。


「……それか、知念。……誘ったら?
まだ好きなんだろ。諦められないならしょーがないじゃん?」


クシャっと紙が握り潰される音がして振り返ると山田目を伏せて表情は見えず、キツく結ばれた口元しか見えない。
先程渡した試写会のハガキは山田の手の中でグシャグシャにされてしまってる。


「…………なんで?なんでそんな事言うの。」


ようやく言葉を発したけれど変わらず表情は見えない。
でもすごく苦しそうに声を出すから俺はどうしていいかわからない。


「昨日は怒ってくれたのに、今付き合ってるのは自分だからって。……嬉しかったのに。」


なんでか目の前の山田を無性に抱きしめてあげたくなった。

へんなの。どこ柔らかそうじゃないのに。
どうしてこんな気持ちになるんだろう。

山田にそっと近づくがあまりにも苦しそうに声を出すからピタリと目の前で足が止まる。


「なんでこんなにしんどいんだろう。人を好きになるってほんと、しんどい。」


そんなことないよ。知念のことを想う山田はこんなにも美しい。
きっと人を好きになるってさ凄く素敵なことだと思う。


「山田をフるなんてさ、見る目ないよ。
学校の女子達が聞いたら悲鳴あげるっつーの。」

「……伊野尾ちゃんってよく鈍感って言われるでしょ。」

「えっ。なんで?」


今俺が鈍感だと言われるような話しなんてしてたか?


「見た目は繊細で神経細やかそうなのに外見と真逆で性格は大雑把。思いついたこと即行動に移すからやることなすこと突拍子もない。」


知ってる。もう何人にも同じ事を言われた。


「本人は深く考えてないから直ぐにケロっと忘れてたりするんだ。」


でも、しょうがないだろ。だってこれが俺なんだから。


「伊野尾ちゃんのそういところが……」


その後に続く言葉も知ってる。


『先輩のそういうところ……私、がっかりしました。』


そうやって何度も言われてきたから。


「俺は、好きなんです。」

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ぽんた(プロフ) - ひとみさん» コメントありがとうございます(*´ω`*)好きと言っていただけて嬉しいです!亀更新ですが頑張っていきます!!! (2021年9月11日 14時) (レス) id: 26174ade27 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ(プロフ) - この作品めちゃ好きです!! いつも更新楽しみにしてます!! (2021年9月11日 14時) (レス) id: e39657dd30 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽんた | 作成日時:2021年3月7日 9時

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