Episode41 ページ42
Asaid
カサッ
トントントントン
机の上を指で叩く音が静かな部屋に響く
苗「…Aちゃん？？？私の話聞いてたのかな？？？ん？？？」
A「はっはい！聞いてます！」
苗「……じゃあ答えてくれる？なんでこれ、黙ってたの？？何か理由があるのかしら〜？」
そう言って母さんが指でつまみピラピラと私に見せている紙はこの前のボーダー玉狛支部入隊の保護者用資料である…
A「あの…それは。」
苗「母さん言ったわよね。危ない目に遭うようなこともうしないでって、Aは私にとってたった1人の家族なんだから。……なのにボーダーなんて…」
A「！……わかってる！母さんが私を心配して言ってるのも、全部わかってる！それでも！」
苗「やめて！！！」
A「！？……かあさん？」
苗「これ以上失いたくないの！幸せな生活を大切な家族を！私には！…もう！Aしかいない……。」
A「！…それでも、私はボーダーに入る。」
苗「！…なんで…そこまで、今までそんなこと…一言も…」
A「母さん…私、友達ができたの。」
苗「えっ？」
A「優しくて少し変で、でも真っ直ぐ私を友達だって言ってくれた人。…あと、自分のことより人の世話ばっかり焼いて、しまいには全部自分のためにしてることだなんて、言っちゃう人。…誰かを傷つけるぐらいなら、誰かを巻き込むぐらいなら1人で抱え込んじゃう人。」
苗「…A…あなた……」
A「はじめて出来た大切な人達。家族以外でできた大事な人達。」
苗「…。」
A「その人達と一緒に……私は…父さんを探しに行く。」
苗「！？」
苗「…A、どうして…」
A「私、ずっと母さんに心配かけないように生きてきたつもり…」
A「でも、このままじゃ嫌なの。」
苗「……」
A「……4年前のあの日から母さんの悲しそうな笑顔しか見たことない。」
苗「A。」
A「また、3人で暮らしたいの……また、母さんにほんとの笑顔で笑ってほしいの…だから！」
バッ
A「えっ？！」
気づくと私は母さんに抱きしめられていた…
ぎゅー
苗「…あの時、三門市に残ったらAまで私の元からいなくなってしまう気がしたの、でも、あなたはあの時から父さんが帰ってきたらいつでも迎え入れれるようにずっと、我慢して待っていた…」
A「！…知ってたの？」
苗「母親だもの…。わかるわ。」
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作者名：ruu | 作成日時：2021年3月21日 13時
