Episode30 ページ31
Asaid
悲しくて、苦しくてなみだが溢れないよう必死で、遊真の言葉に相槌を打つしかできなかった
もしかしたらあと何回かしか会話できないかもしれないのに…
そんな考えが頭をよぎった時だった
遊真のいつもより真剣なトーンの声が耳に入ってきた
遊真「……俺、Aと友達になれて良かったよ。」
A「!?」バッ
いつもの何倍も低い声と真剣なトーン、何よりそんなことを言われるとは思わず勢い余って遊真の方に顔を向けてしまった
まずい……こんな顔見られるわけには…
遊真「やっとこっち見たな。」
我にかえって遊真とばっちり合ってしまった目を逸らすため首を回転させようとしたが…
ガシッ
その前に遊真の手に両頬を包まれ、首どころか顔の角度すら動かすことができなくなってしまった。
遊真と見つめあったまま、時間が少しずつ過ぎるのを感じる…
遊真「…やっぱり、泣いてたのか。」
遊真の私の頬を掴んでいた指が目元をなぞる
A「!……泣いて…ない…し…。」
これは私の悪あがき…
遊真「お前、つまんない嘘つくね。」
A「…うっ泣いてないの!!」
必死にそう言って遊真の手から解放されるため首を振り回す…意外とあっさり離してくれた遊真は私の方から目線をずらすことなく問いかけた
遊真「はいはい、そうですか。……で?俺に何か話したいことあったんじゃないの?」
A「……べつに…」
遊真「Aは直ぐ嘘つくな、俺には嘘かほんとかわかるのに…」
A「……遊真はすごい。1人で戦争を終結に追い込んでお父さんの有吾さんを蘇らせるためにこんなとこまで来て。」
遊真「別にすごくないぞ?全然、戦争だって国のみんなが頑張ったからだ。」
A「…だとしても、遊真は有吾さんと一緒に参加していた戦争を有吾さんがいない状態で終結に導いた…なにより、有吾さんを蘇らせるためにこんなところまで来て…」
A「千佳ちゃんだってそう…」
遊真「チカ?」
A「千佳ちゃん、ボーダーに入ってお兄さんとお友達を探しに行くんだって、誰かに任せるんじゃなく自分で…」
遊真「おぉ。それはでっかく出たな、Aはどうするんだ?一緒に行くのか?」
A「……わからない。私、どうしたいかわからないの……自分でも、自分がどうしたいか。」
A「最初、遊真からあっちの世界に連れ去られた人は生きてる可能性が高いって聞いてすごく嬉しかった…父さんが生きてるかもってけど…」
遊真「Aは自分で探しに行きたいとは思わないのか?」
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作者名:ruu | 作成日時:2021年3月21日 13時