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雅紀を育て始めてから、
10年程が経って。

確か、雅紀が小学校の修学旅行に行った時だった。

二宮が俺に会いに来た。


『…雅紀はどうです?
可愛くなってきたでしょ?』


最近は何故か雅紀と同じ位の年に見える二宮。

まーくんの友達ってことになっているんです、と言っていた。

やはりこいつは人間ではなかったと、
思っていたが。


二宮の質問に、素直に答える。


『あぁ、なんか…
自分の子供みたいだな。
前まですげぇ不細工だったのに、最近顔が整ってきて…』


『…貴方と同じ、仕事をさせるの?』


答えに詰まる。


…もしも、
雅紀が絶世の美少年に育ったら、
店で働かせますか?


少し前に。
そう、二宮に聞かれたことがある。


…多分…な。


その時も、答えに詰まった。


…俺が教えられる仕事はこれだけだし…
今の収入じゃ、ろくに勉強もさせてやれないだろうから…


二宮が俺の顔をじっと見つめる。


…大体、そんな絶世の美少年に育ったら、いい売上げだろ。
俺が放っとく訳ないだろ。


目をそらしながら、答えた。



『……それしか、ないよな…
金もないし…せめて…
中学までは、いいとこに行かせてやるから』


過去の会話を思い出しつつ、
やはり二宮とは目を合わせずに答える。


『…良かったじゃないですか。
べっぴんさんに育って。
いい売上げじゃない』


違う。そうではなくて。


『俺はあいつを店で働かせる為に育てたんじゃねぇんだよ!』


雅紀は、綺麗だ。
確実に売り上げにはなる。

でもその前に、
人として育ててやりたい。


『…だから、中学は受験させる。
あいつ成績いいし。
頭いいとこ、行かせるから…』


金がある内に、私立の中学を受験させようというのは前々から決めていた。

高校まで出してやれるか分からない。

だが、レベルの低い公立中学で、
自分のようにいじめに巻き込まれたりしたらと考えれば、私立受験をさせるのが雅紀にとってもいいと思ったのだ。


結局、雅紀は1校だけ受験した私立に合格した。


その時も、
何故か雅紀と同じ制服を着た二宮が、おめでとうと言いに来たが…。


その頃から、俺の中で二宮は、
雅紀の守護天使のようなものだったと思う。


まさか、悪魔だったとは。

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作者名:紅碧 舞 | 作成日時:2015年1月4日 0時

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