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その後は、あんまり覚えてなくて…
でも、意外と落ち着いてたかも。
薬は、粉末のやつだったし、
トイレに捨てちゃった。
入ってた紙袋もちぎって、流して。
証拠隠滅。
ホテルの人に来てもらって、
救急車呼んでもらった。
けど…部屋に人が入ってきた瞬間、
怖くなっちゃって。
すごい泣いたと思う。
松本さんが、来てくれて、
一緒に帰ったと思う。
次の日とかは、
熱出して、ずっと寝てた。
また学校行けたのは、
一週間後ぐらいだったかな。
案外、すっきりしてたよね。
開き直り、っていうか。
長い間寝てたから、
記憶が薄れたのかな。
いつも通り、
翔ちゃんが話しかけてきてくれてさ。
ずっと休んでたけど、大丈夫?
って…。
嬉しかった。
こんな俺のこと、
心配してくれる人がいたんだって。
…もっと翔ちゃんのこと、
好きになった。
3年になって、クラス分かれちゃったんだよね。
同じクラスになった友達がさ、
いつも翔くんと一度にいる子だよね、
って話しかけてくれるんだよ。
それで、翔ちゃんの話で、
打ち解けられて。
新しいクラスでも、友達ちゃんとできて。
みんな、翔ちゃんのこと、
かっこいいし、頭いいし、優しいし、
すごいいいやつだ、って言ってた。
そんな人と仲良くできて、
嬉しかったなぁ、って。
クラス離れても、
時々休み時間とか会ったりしてたね。
廊下ですれ違って、抱きついたりとかさ。
お前ら本当仲良いよなー、って。
みんなあきれてた。
相葉ちゃんは女の子みたいだから、
翔くんと並んだらカップルみたいだ、
って言われて、ちょっと嬉しかった。
けど、翔ちゃんは高校受験があって。
俺は、高校いかないで、
店で働くことになってたから。
いい高校行って、いい大学行って、
いい会社に勤めて、
翔ちゃんは立派な人になるんだろうなって。
俺はそんな人とは付き合えないと思ってさ。
だんだん、学校でも会わなくなって。
卒業式の後、告白だけしたけど…
もうどうせ会えないから。
想いだけでも伝えよう、って。
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作者名:紅碧 舞 | 作成日時:2014年12月16日 17時