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「…最近はどうです、給料ちょろまかされたりしてませんか?」
「そんなことはない、そういうことは、昔からしない人だったし…」
「それならいいんですけどね」
俺と二宮は、小学5年のときに初めて会った。
方向同じだから一緒に帰ろう、と
二宮の方から声をかけてきた。
クラスが違うらしく、校内では全く会わないが、帰り道ではいつも一緒になり、ゲームやマンガなど、たわいもない話をしていた。
初めて、
心を開ける友達ができたような気がして、嬉しかった。
それから1年後、6年になって。
まーくん、
クラスには、友達いるの?
ある時突然、そう聞かれた。
…あんまり、いない。
俺はそれまで、クラスの子供たちとは打ち解けられないでいた。
松本に時々連れていかれる店で、
汚い大人たちをたくさん見ているから。
なんとなく、人が全て、
信用できなかった。
クラスの子供たちでさえも。
もしも自分の家のことがバレたら、
みんな軽蔑するはずだ。
まーくんのクラス、いい人ばっかりだよ。話しかけてみなよ。みんな仲良くしてくれるから、ね?
その話をしてから一週間後には、修学旅行があった。彼はそれを心配してくれていたのだろう。
でも俺は怖かった。
修学旅行に関しては、誰とも大して関わらずに乗りきればいいが、下手に誰かと仲良くなって、家のことがバレたら。
ただ、不思議なのは、
二宮にだけはその恐怖は抱かなかったことだ。
俺さぁ、あんまり、みんなと仲良くしたくないんだ。
もし、家のことがバレたら…
…俺の家、2丁目の、
ウリセンってヤツで…
知ってたよ。
…えっ?
俺は、松本さんと知り合いなんだよ。
……。
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作者名:紅碧 舞 | 作成日時:2014年12月16日 17時