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次の場面に変わる。
『…雅紀、悪いけど、高校は出してやれない。生活費も足りないし、店で働いて欲しい。お前なら、稼ぎになるから』
『…わかりました、松本さん』
中学2年の終業式に言われた言葉。
この話を聞いてから、その日の出勤まで、ずっと泣いていたのを覚えている。
画面は、
先に店へ向かう松本を映す。
部屋を出た時に。
『松本さん』
そこに立っていた二宮。
『…何だよ』
『結局、雅紀を働かせるの?』
『…仕方ないだろ。金ねぇんだよ』
『無理させないようにね』
『…わかってる』
何歩か先に進む松本。
少し行ったところ、
階段の手前で立ち止まる。
『…本当は、嫌なんだよ、俺も…
ちゃんと高校行かせてやりたかった。
でも、駄目だった。俺のせいだよ…。
せめて、二宮、お前があいつのこと支えてやってくれ』
『…いいの?私にそんなこと頼んで』
『お前しかいないだろ…
お前が何者だか分かんないけど、
…雅紀の親友なんだろ?』
『…わかりました』
信じられない。
高圧的な態度で俺に働くように言った裏で、二宮にこんな弱気なことを言っていたなんて。
そこでまた画面が飛んで。
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作者名:紅碧 舞 | 作成日時:2014年12月16日 17時