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画面が切り替わり、
マンションの部屋から出てくる二宮が映る。
中学の制服を着て。
部屋の横の階段を上がってきた松本とすれ違う。
『…おい、二宮!』
松本が声をかける。
『あぁ…久し振りですね。
まーくんの中学合格と入学、
おめでとうございます』
『…ありがとう』
『よかったですね、いい中学に入れて。最低限の学歴はつけられるから』
『…できれば、高校も大学も出してやりたい。仕事も、好きなことして欲しいし…できればだけど…
それより、あいつ、学校でどうなんだよ。友達とか、いじめられたりしてないか?勉強、ついていけてそう?
…仕事、辛そうだから…
どうしようかって…でも、生活費もギリギリだからさ…』
『…大丈夫です。
私が…ずっと見てますから。
友達もいますよ。一応。
勉強はまぁまぁ…
学校休みがちだから、大変そうだけど』
『…そうだよな…どうしよう…』
『…仕方ないんじゃない?
生活費ないと、生きていけないんだから』
『…そうだけどさ…』
『まぁ、様子見て。
…まーくん、辛くても辛いって言わないときあるから、ダメそうだったら私から報告します』
『…わかった。じゃあ、ごめんな、引き留めて』
…そう言えば松本さんは、俺が辛いとき、何も言わなくても仕事を休ませてくれていた。
「貴方が辛そうだったら、私から松本さんに言ってあげてたんです」
俺の隣に寄り添っている、
悪魔が言う。
「松本さんは、ニノが悪魔だって知ってたの?」
「この時は知りませんよ。ほら、次のシーンが始まります…」
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作者名:紅碧 舞 | 作成日時:2014年12月16日 17時