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「私は悪魔です。
そしてこの人の、死神の友達」
「でも、かずは悪い悪魔じゃないんだよぉ。雅紀くん、かずにたくさん助けてもらったでしょ?」
「そう。俺は貴方を助けたくて。
でも助けるのも…これが最後でしょう。今日死んでしまう貴方に、貴方がどれだけ愛されてきたか、教えてあげようと思ったんです。
…余計なお世話かも知れませんが、
そのまま死ぬより、マシでしょう」
「それでは、
このVTRをご覧ください」
呆然とする俺。
死神がポケットから取り出した…
ゲーム機…のようなものから、
光の画面が照らし出される。
「このゲーム機は、万能通信機なんです。下界で見られても、怪しまれないように、形を改良してあるの。
まーくん、俺がずっとゲームしてると思ってたでしょ?」
死神が映し出した画面が変わる。
…ゴミ置き場?
小さい子供の声。
ポリバケツのそばに、
白い布で包まれた赤ん坊が泣いていた。
黒いコートの少年が通りかかり、
足を止める。
『…よしよし。いい子だね…』
少年が、赤ん坊をあやす。
これは、二宮…?
画面の中の二宮は、
中学生くらいだった。
二宮が、向こうを振り返る。
振り向いた先に、ひとりで歩く男。
ベージュのコートと、黒のマフラー。
…あれは、松本さん。
二宮が、その男を追う。
赤ん坊を抱えたまま。
男が、マンションの一室に入って行く。
表札は、“相葉”。
今の、俺達の家。
部屋のドアが閉まってから、
やってくる二宮。
赤ん坊をドアの前に置き、
去っていく。
「…えっ、お前…」
「まぁまぁ、最後まで見ましょう」
再び泣き出す赤ん坊。
しばらくして、部屋から出てくる松本。
赤ん坊を抱えあげ、困ったように周りを見回す。
誰もいないらしい。
赤ん坊に目を落とす。
突然、甘えたような声を出すその子。
松本の顔が、ほころんだ。
そのまま、部屋に入ってしまう。
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作者名:紅碧 舞 | 作成日時:2014年12月16日 17時