14 ページ14
…………
今日は、12月24日。
街は、クリスマス・イブ。
俺の、命日。
先週は、何もせず週末を迎えた。
あれから、
翔ちゃんから連絡はなかった。
…本当に、もう終わったんだ。
時々、携帯が鳴っても、
松本や、他の客からだ。
指名入ったから、早く店入れ、とか。
翔ちゃんが来ないぶん、
他の客を相手にしなきゃならなかった。
客に乱暴に扱われる度に、
彼の優しさを、思い知った。
俺がどれだけ、彼を愛していたかも。
今週になってから、二宮にも会わなかった。
あいつとも、
死ぬ前に会っておきたかったのに。
あと2時間で出勤。
松本は既に家を出て、店へ向かった。
今日の朝まで客とホテルで過ごしたから、ぼんやりするし、腰がだるい。
少し眠ろうと思って目を閉じる…。
‥‥♪‥‥♪
インターホンの音。
誰だろう…。
腰を支えながら立ち上がる。
「はい…え、ニノ…?」
ドアの外には、
ニンマリと笑う見慣れた顔。
黒のコートを着ているせいだろうか、
いつもより蒼白く見えるような…。
「…すみませんね私で。
御無沙汰でしたね。
家まで来るのは久し振りですが。
…こちら、お知り合いでしょ?」
そう言って二宮が向いた方には、
黒づくめの男。
「…死神…」
「…御無沙汰してます。
相葉…雅紀様」
「あがるよ」
二宮と死神が、家に入ってくる。
「今日はさ、貴方に。見せたいものがあって。ね」
「和也のたっての願いですよ、
雅紀君」
「…相葉さん、貴方、
幸せじゃないと言いましたね。
誰からも愛されないと」
「…うん、言った、けど…」
「そんなことはないんだと。
貴方が死ぬ前に教えてあげたくて」
「…何でニノが、俺が死ぬって知ってるんだよ…それに、何でそいつと…」
二宮が、死神と顔を合わせる。
「種明かし、しちゃいなよ…」
死神が、ニヤリと笑う。
「…でも、まーくん、
怖がるんじゃない?大丈夫?」
二宮が立ち上がる。
黒いコートのフードを被って、
後ろを向きながら俺を見て笑う。
その口元。
こいつ、こんなに歯が尖ってたっけ…
後ろ向きの二宮から、黒っぽい煙が立つ。
もう一度、くるりと振り返り、
フードを外す。
「……!」
思わず言葉を失った。
充血したような、赤い目。
尖った耳。
唇からはみ出る牙。
そして、黒い角…。
「…悪魔…?」
「…その通りです。
今まで黙ってて、すみませんでした。」
51人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紅碧 舞 | 作成日時:2014年12月16日 17時