【あんスタ】存在証明 (ページ6)

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オマツリ 15 ページ6

｢流石に薫くんが全然姿を見せなくて心配になってきたから……誰ぞ、探してきて欲しいんじゃ。念の為、みんなで1度くらいは音を合わせておきたいからのう｣

｢薫くん……って羽風先輩！？｣

羽風先輩って『UNDEAD』なの！？

あの人とは海洋生物部での一件以来会ってないけど、その時はあんまりいい別れ方をしなかったからちょっと気まずいよな……。

……気まずさをステージに持ち込んだら、昨日偉そうな口を叩いてしまった真緒に合わせる顔がないし、ここは先輩を呼びに行って、仲直りして、一緒にステージに上がるのが1番いいよね！

｢朔間先輩！おれが行きます！｣

｢おお、元気の良い返事をありがとう。では佐倉くんに御願いしようかのう｣

朔間先輩がにこやかに言う。

｢あっ俺も行きますよ。人手は多いに越したことはないし、いっぺん生徒会の様子も見ておきたいので｣

｢あぁ、構わんぞい。2人で仲良く行っておいで｣

そういった真緒の提案にも優しく了承してくれた朔間先輩に見送られて、私達は軽音部室を後にした。

｢と言っても……何処から探せばいいやら｣

早速途方に暮れる私に、真緒が言った。

｢あ、あのさ雅……俺、実はまだ凛月と仲直り出来てないんだよ。……やっぱり、ステージ上がっちゃダメか？｣

｢え、｣

そういや昨日、私真緒にそんなこと言ったっけか！

｢いや、流石におれにそこまでの権限ないし……気にせず上がっていいと思うよ？昨日のあれは脅しというか……その場の勢いというか……｣

申し訳ない、と肩を竦める私に、おいおいマジかよ……と真緒は困ったように笑う。

｢いやまぁ、実際凛月との喧嘩で全然集中出来なくなってたのも事実だし。お前に言われてから何となく、凛月に伝えたい言葉もまとまったから｣

1歩前を歩いていた真緒は立ち止まって此方を振り返ると、言った。

｢ありがとな｣

｢いや！おれは別に何も！……そ、それにまだ仲直りには至ってないし！｣

く、くそぅ！面と向かって感謝されると面映ゆい！

耳が熱くなるのを感じてそっぽを向いた私の耳に、綺麗な、でも少し悲しげな旋律が届く。

｢……これ、ピアノ？｣

｢え、ピアノの音？｣

私の呟きに反応した真緒は、少し考え込むような素振りを見せると突然走り出した。

｢悪い！羽風先輩のこと、先に探しといてくれ！｣

｢え！？ちょ、真緒！？お～い……｣

引き止める間もなく走り去った真緒を見送ると、私は1人寂しく項垂れ、先輩を探しに歩き出した。