一本道で迷子 (ren.n) (ページ44)

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グラウンド44回目ページ44

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よっしゃーと笑いながらリフティングを始める永瀬。

『永瀬！おめでとう！！』

「ありがとう！見て！もう俺のもんやで！」

そう言いながら心から楽しそうにボールと戯れる彼は、先ほどとは別人だ。
永瀬も闇から抜けたみたいだし、その手伝いが出来たなら私のお礼も完了だろう。
本当に良かった。

「ああああ、もうほんま長かったわあ！
でもあれやな、これで背も高いしサッカーもできる、まさにイケメンエースやな俺！！」

あれ？
なんだこいつ、調子良いな…

『誰のお陰だ！死にそうな顔してたくせに！
叩かれた蚊みたいな雰囲気出してたくせに！』

「カッコいい蚊やろ～」

『うわ、もう少し苦しめば良かったのに…』

「もう勘弁やわあんなの。

………ほんま、ありがとうな。」

『お礼、出来た？』

「かんぺき」

『じゃ、お互い様ってことで』

そう言って笑い合う。

こうして一緒にサッカーをして笑いながら会話できるなんて、きのうは一言も話せなかったのに不思議な気分だ。

「あ～やっぱ、この感じや～
おかえり俺の身体～～待っとったで～～」

『良かったね～あとはレギュラー復帰するだけだね』

「そんなんすぐやって。まあ、ショックやったけど、怪我しとったんやから当たり前やったし」

『試合がんば』

「おー！次は試合見に来てや！」

『やだよ！今度こそ私横目にドヤ顔でやるつもりでしょ！！』

「おれ一晩付き合ったんやで！？
お前こんな20分だけ1on1やっただけで…」

『私は今日フットサル休んで付き合ってあげてるの！ローファーでやったから靴擦れしたし…』

「はあああ！？あほ！
なんでシューズ履き替えて来んねん！」

『勢いだったの！私もこんなガチでやるつもりなかったし！』

「お前勢いだけで動きすぎちゃう？
もー、絆創膏ある？ちゃんと貼っときーや」

あの日の夜のように話せることに胸が高鳴る。
お互い動いた後でテンションが上がっているのもあるし、広いグラウンドに二人だけという開放感もある。
そして何より、こいつとサッカー出来たことが楽しかった。

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