一本道で迷子 (ren.n) (ページ43)

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グラウンド43回目ページ43

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お互い会話もしなくなり、ただただボールを転がす。

「はぁっはぁっ……は…」

『はぁ…はぁ、、』

もう15分ほど経っただろうか。
私の足も限界にきたとき、

－－－－－トン

いままでとは違う

いままでは絶対に取れなかった角度のボールを軽く蹴られて奪われる

『………なが、せ』

「ちょ、待って………わかった、かも」

汗をぬぐいながら見つめ合う。

『最後に、もう一回だけ、やって、
ボール取れたら、そのままゴールしよ』

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永瀬が笑っている。

そんな顔、初めて見た。

声を上げず、なのに満面の笑みは全てを語る。

掴めたんだ。

自分の身体が帰ってきたんだ。

最後に一回。

しっかりゴールして欲しい。

私がボールを転がすと
たった2アクションで奪われた。

なんだ。
やっぱりエースなんだ。

そのままボールを蹴りながら走る背中を追う。

ボールは置いてけぼりになってない。

しっかり感覚をつかめている。

そして、思いっきり蹴り上げて

ゴールを揺らす。

振り向いて拳を握り

「っしゃぁあああああ！！」

と無邪気に喜ぶ彼は

本当にかっこよかった。

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