其の捌 ページ8
「…は?」
狂鬼と対峙?
それは本気で言っているのか?
「…え、ちょっと待ってください!僕に狂鬼と戦えって言うんですか?!そんなの出来っこないですよ…っ」
「いや、別に戦えとは言ってない。…まぁ、多少の攻撃はしてもらいたいけど…なんというか、時間稼ぎ?」
「それ、囮ってことですよね?」
「…き、気にすんなよ」
「…いやまぁ、助けていただく立場なんで何も言いませんけど」
というか、時間稼ぎと言っても、僕は何をすれば良いのか全くわからない…
一体僕はどうすればいいんだ。
「僕は何をすれば良いですか?」
「え?だから時間稼ぎ」
「そうじゃないです!」
「…?時間稼ぎは時間稼ぎだろ。殴るでも蹴るでも、とりあえず狂鬼の注意を逸らしてくれればなんでもいいんだ。」
「…前から思ってましたけど、文乃先輩って何だかんだ結構脳筋ですよね」
「まぁあの兄さんに鍛えられたからな。」
「…ほんとに何者なんですか。あのひと」
「マフィア」
…は?
え?マフィア?
それってあの…裏社会とかそういう…?
「…マジっすか?」
「…さぁ?どうだろうな?本当かもしれないし嘘かもしれないぞ。」
「こ、こんな時まで揶揄わないで下さい…」
「ははっ。It's joke!なんてな。緊張を解してやろうと思って。」
無駄に良い発音が腹立たしい。
…まぁ、心遣いは有難いので素直に受け取っておこう。
「…さてと。そろそろ行くか。…はい、渡しとくな。」
そう言って文乃先輩が僕に手渡したのは…
かなり重い、ゲームなどでしか見たことないようなガチめのサバイバルナイフだった。
「護身用だ。向こうに攻撃されそうになったりしたらこれぶん回しときゃなんとかなるぞ。」
…もしかして、さっきのは本当なのか…?
護身用だ、といい笑顔で答える先輩に、恐怖を抱くのだった。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:葉千巻 | 作成日時:2019年12月23日 0時