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「じゃあ橙さん、後は頼んだよ。」


そう言って、部活の先輩たちは美術部を後にした。

数人の3年生しかいなかった美術部に、今年入った1年生は10人ほど。
2年生がいないので、3年生が受験で引退すると、必然的に1年生が部長になるしかない。

そこで選ばれたのが、自分。

最初は断った。
絵が好きで入部したし、みんなをまとめる部長にも憧れた。
でも、班のリーダーすらしたことがないし、責任感のかけらもない自分に、正直向いているとは思えない。
だが顧問からは、一番美術に関心があるからだと言われた
少し嬉しかった。


しかし、部長という役職はやはり難しく…


部長になってから、一番最初の部長会議。


「今配ったプリントに書いてある通りに…」


先生が説明で何やら言っているが、全く理解できない。
というかまず、緊張して頭が回らない。

だって、周り全員3年生じゃん!!!!

部長会議でのリーダーは、やはり帝光中で最も優秀な成績を誇る、バスケ部の部長だった。
虹村、というらしい。
つり目で低い声。
美術部には男の先輩がいなかったこともあって、大きい男の先輩はすこしこわい。

あ、灰崎の言ってた主将って、虹村さんのことかな?


昼休みの数分の間、何もわからないままあっという間に会議が終わってしまった。
どうしよう…

先生は足早に教室を出ていき、質問できる相手はもはや、リーダーの虹村さんしかいない…!
友達らしき他の部長と話しながら教室を出ようとする、虹村さんを追いかけた。


「あの!虹村さ…っ」


虹村さんが振り向いたところで、椅子に足を引っかけて盛大に転んだ。

他にもまだ人がいるのに、恥ずかしい…しかも痛い。
椅子にぶつけた弁慶の泣き所…ほんと泣きたい。

先輩たちとは初対面だったが、大丈夫?と声をかけてくれた。
その優しさにお礼を言いながらヨロヨロと立ち上がろうとすると


「大丈夫か?えーと…美術部の一年だっけ」


虹村さんが手を差し伸べる。
その手を掴むと、軽々と軽々と引っ張り上げられた。


「うわっ軽…お前小さいな。俺の妹くらい?」


妹がいくつなのかは知らないけれど、「小さい」というワードに胸を突きさされる…


「んで、俺に用?わかんないとこあった?」

「あ、そうです。すいません、これって…ていうか全体的にその…ええと」


もはやなんと聞けばいいかわからないでいると、「話聞いてた?」と言われてしまった。


「俺も最初そうだったよ。」


そう言って、虹村さんは微笑んだ。

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設定タグ:黒子のバスケ , 灰崎祥吾 , キセキ   
作品ジャンル:恋愛
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ナイン(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» はじめまして。コメントありがとうございます。灰崎くんは実は良いやつなんだろうな、と思って書いてます。暖かい目でみてくれると嬉しいです。 (2018年7月5日 6時) (レス) id: 2c81737552 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 祥吾様は私の彼氏兼教祖様 祥吾様私の息子みたいに可愛い 恩人でもある (2018年7月5日 5時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナイン | 作成日時:2018年2月9日 18時

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