第22話 ページ22
私は昔、日和くんのことが嫌いだった。
昔から私と日和くんは真反対で、太陽みたいだった。
明るくて、キラキラとして笑顔で話しかけてくれてもネガティブな心が邪魔して、素っ気ない返事しかしなかった。
成長していくうちに、私は太陽が嫌いになっていた。
部屋ではいつも1人、本を読んだり絵を描いたり…一人で出来ることばかりしていた。
もう1人の兄は、忙しそうになにかをしているだけで、あまりこの時から喋ったことが無い。
そんな毎日が続く中、ある日我が家主催のパーティーがあった。
私はもちろん、最初から誘っても断られることがわかっていたのだろう。
私は窓の外を見つめて、キラキラした装飾の色が大人たちの正装に映りとても綺麗だった。
窓の外を覗いていると、不意に日和くんと目が合った。
私はなんだか気まづくて目を逸らすと、クローゼットに目がいった。
今更パーティーに参加はできなくても、気分だけでもと思いドレスを引っ張り出す。
本来であればこれが初めての参加になるはずだった。
私は、自分で着替えてみるがファスナーがどうしてもあげられない。
そのままベッドに身体を投げた
廊下がなにやら騒がしくなってきたので、急いで着替え直そうと思ったら、私の部屋にノックがかかった。
「Aも来ないとたのしくないね！」
そう言って私の部屋のドアを開けた。
「えらいえらい！ちゃんと着替えているね！
ほら、こっちにおいで。ファスナーはこの僕が上げてあげるからね！」
優しく暖かい、まるで太陽のような眼差しで私に言ってくれた。
日和くんは私が座り直したベッドに近づき、そっと跪いた。
私は初めて、怒られる以外で泣きそうになってしまった。
日和くんの手をとると、くるっと半回転させられてファスナーをあげてくれた。
「これでよし！」
「あ、ありがとう。」
少し照れながらもお礼を言うと、私の手を引っ張って、パーティー会場へと連れて行ってくれた。
あの時、私は太陽に触れていなければ永遠に暗くて寂しい部屋にいただろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 111人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
。 - 蓮見じゃなくて蓮巳です。 (3月10日 23時) (
レス) @page8 id: 4dba0393ab (このIDを非表示/違反報告)
星空ブリキ(プロフ) - ありがとうございます、めっっっっちゃきゅんとしました! 推しが…英智先輩になってしもうた……………もう最高すぎます! (2023年3月29日 8時) (レス) id: 2cdbc326e2 (このIDを非表示/違反報告)
草林檎(プロフ) - あおさん» コメントありがとうございます！そう言って貰えて恐縮です。改めまして、ご感想本当にありがとうございます。 (2022年8月2日 19時) (レス) id: c346cb75c8 (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 英智の策士っぷりかっこよすぎでした‼︎新作も楽しみにしております‼︎ (2022年8月2日 0時) (レス) @page35 id: 2801323682 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：草林檎 | 作成日時：2022年7月13日 23時
