幼なじみが可愛すぎる件について！２＿skab

少年Aの恋愛迷宮2 ページ18

「にしても昨日の阿部ちゃん、綺麗だったなー。
俺、魂抜けたもん、美人すぎて！」


今、なんて？
思いもしない方向からの攻撃に固まる。


「なにそれ…。」


そう返すのが精一杯だった。


「いやほんっとに！
翔太に声かけられるまでまじで魂どっか行ってた！」


楽しそうに力説してる佐久間を見てると、なんだか少し前の俺たちに戻れたみたいで


「ふはっ、それ、大袈裟…！」


思わず、笑っていた。

ラウールも、態度はあしらうようだったけど、佐久間に褒められて、こんな気持ちになったのかな。
くすぐったくて。
きゅんとなって。
楽しくなって。
嬉しくなって。
ふわふわするけど、ドキドキして。



「あ、阿部ちゃん、笑った。」
「え、俺？」


俺笑わないキャラかなんかになってたの？
あ、佐久間とはしばらくこんな時間なかったか。
佐久間も、俺のこと、気にしてくれてた？
…なんて、期待してもしょうがないか。

そう思ってたのに。



「泣かせちゃった日から、ずっと見たいなって思ってた。
阿部ちゃんの笑ったとこ。」


顔が、熱くなる。
そんな優しい目で見られたら、俺、直視できない。
でも、


「俺もまた、佐久間が近くで笑ってくれて、嬉しい。」


なんて、言ってみたりして。
俺絶対、浮かれてる。
冷静キャンペーンなんて、どの口が言ったんだ。



その上佐久間から


「明日からさ、一緒に学校行かない？
家の前で、待ち合わせ。」
「俺と阿部ちゃんだけの、約束。」


なんて言われ。
極めつけに

「だってそうしたらさ、絶対毎日阿部ちゃんの笑顔見えるじゃん。」


って。
もう目黒に嫉妬したなんて言われた時にはとっくにキャパオーバー。



冷静キャンペーン。
佐久間との距離感。
ただの幼なじみ。


全部全部、頭にはあるけど。
分かってるけど。
でも、


「…だめでは、ない。
けど、遅刻すんなよ。」


約束何度もすっぽかされたりしたら、傷つくんだからな。


「了解でやんす！」


キラキラ笑う、佐久間。

俺はこうしてまた、こびりついた思いを、拗らせていく。

少年Aとわたあめ的恋心→←少年Aの恋愛迷宮1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す