幼なじみが可愛すぎる件について！２＿skab

少年Aとわたあめ的恋心 ページ19

教室へ入ってもガラガラ。
朝の電車二本分は大きい。

でも今まではこの教室みたいにぽっかりしてた心が、今日はふわふわしてる。
佐久間と、約束。
えへへ…。

あー、だめだ。
にやける。


恥ずかしすぎて机に突っ伏した。


「おー。
阿部、おはよ。」
「おはよう。」


いつの間にか照がいた。
慌てて顔を元に戻した、つもり。


「あれ、今日阿部が生きてる。」


バレるの早っ！
いやいやそんないくらなんでも…。


「俺、今んとこ毎日酸素吸って二酸化炭素吐いてるよ。」
「顔色が違いすぎるって言ってんの。」


バッサリ…。
もう心当たりがありすぎて何も言えない。


「佐久間が…。」
「佐久間が？」
「明日から、待ち合わせして一緒に学校行こ、って。」


あー、もう言ってて何かが爆発しそう。
思い出しただけでまた顔あっついし、心臓はバクバクするし。
忙しい…。


「お前ら小学生なの？」
「へ。」


しょう、がくせい…？


「告白されたとか、押し倒されたとか。
せめて急にキスされたとかかと思った。」
「そんなことっ、あるわけないじゃん！
だいたい佐久間が好きなのは、ラウールだし…。」


そうだ、俺と学校行くんで良かったのか？
佐久間が行きたいのは、ラウールだったんじゃ…。


「おい、また難しい顔に戻ってるって。
佐久間が何をどう考えてるかは知らないけど、その約束の相手に選んだのは阿部なんだから、喜んどきゃいいんじゃねぇの。」
「うん…。」


佐久間が、選んでくれた。
…良い響き。


「ありがと、照。」
「おう。」


俺の表情筋、明日までには復活するかな。
今のところ、ゆるゆるでどうにもならない。
とりあえず手できゅうっと両頬を上へ上げてみる。


「阿部、恋する乙女になってる。」


照の呆れたようなつっこみで、また机に突っ伏した。
あー、もう！
俺今日は復旧不可能です。

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