ダイゴさんの姉の話【pkmn】 (ページ9)

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「早めに謝ったほうがいいよ。
遅くなればなるほど謝りにくくなるのは目に見えているからね」

『それは…そうだけど……』

どうやらなかなか踏ん切りがつかないらしい。
頭を抱えながら唸っている。

何かきっかけがあればすんなり行きそうなものだが……少しばかり考え、ハッとする。
そしていいことを思いついたと言わんばかりに、ミクリはにこりと笑った。
その笑顔にあまりいい予感がしなかったのか、先程まで頭を抱えていた彼女は顔を引き攣らせている。
今日は、表情の変化が激しい。

「なら、私とバトルをしよう」

『……バトル？』

「私が勝ったらAは素直に謝りに行く。
……どうだい？」

『じゃあ、私が勝ったら謝りに行くのついて来て！』

途端に立ち上がり顔がずいっと近づく。
そして切実に両手を握りながら、涙目で懇願した。
普段強気であっけらかんとしている彼女の珍しい表情にはくるものがあったが、ミクリも彼女の保護者じゃない。
面倒くさい姉弟喧嘩の仲直りまで見守るなんてごめんだ。
負けるわけにはいかない。

「これは…私も本気で行かないとね。
途中で逃げ出したりしないでくれよ？」

『誓約書でも書く？』

「……それも、いいかもしれないね」

しかし、このバトルに勝っても負けても謝りに行くことになるのを……彼女が気付くのは決着がついた後のことだった。