ダイゴさんの姉の話【pkmn】 (ページ47)

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「ようこそ、龍召の祭壇へ。
ここに来るまでに…この塔の壁画は見てくれた？」

『もちろん、とても興味深いものだったよ。
ゲンシカイキしたグラードンにカイオーガ、落ちる隕石、それを食い止めるためレックウザを召喚した流星の民……って認識であってる？』

「お見事！よくできました！
さすがは研究者ってだけあって、その洞察力は素晴らしいね」

パチパチと、わざとらしく拍手を送る。
しかしそれに表情を少しも変えることなく、Aはヒガナを見つめていた。
ヒガナは少しばかり目を見開くと、やれやれと肩をすくめたのち手を止め口を開いた。

「これで、私のやろうとしていることは分かってくれたよね」

『レックウザを召喚し、今まさに迫る隕石を破壊する……そういうこと？』

「……それが、私たちの使命だから」

しん、とこの場を静寂が支配する。

私たちがまるっと解決する。その言葉を聞いた時からまさかとは思っていたが……そのまさかだった。
レックウザを召喚し隕石を破壊するとは大胆な。
しかし流星の民は今この時のためにレックウザを召喚するための方法を語り継いできたのだろう。

『確かに隕石を破壊できるなら、それ以上の策はないよね。貴女が言っていたワープした先にいる人の危険性だって考えなくていいわけだから』

「話が早くて助かるよ。
もしこれでも理解してもらえないようだったら、気は進まないけど力で理解させなきゃいけないところだったからね」

力、つまりはポケモン勝負。
強硬手段とも取れるようなやり方だ。

しかしながら…本職は研究者であるとはいえ、Aも昔はこのホウエンのジムを巡って旅していた身。
もしそうなっていたとしても、簡単に負ける…ということはなかっただろう。

『でもね、確認しておきたいことがあるんだ。
貴女の作戦…必ず成功すると言い切れる？
この作戦の失敗…それは、このホウエンが、ここに生きる人たちが…ポケモンが、消えてなくなってしまうことを意味する』

「……そうだね。
レックウザが私の祈りに応えてくれなければ、ホウエンは滅びる」

『……私も嫌な未来なんて考えたくないけどさ。
でも…考えなきゃいけないよね、それだけ多くの命がこの作戦には懸かってるんだから』

……未来のことなど誰にもわからない。

それは望む幸せな未来かもしれないし、想像も出来ないような…絶望的な未来かもしれない。
全ては、この作戦に懸かっているのだ。
ヒガナもそれを分かっているからか、言い返すこともなく口をつぐんだ。

『私は、危険な賭けをするつもりはないよ』