ダイゴさんの姉の話【pkmn】 (ページ43)

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手持ちポケモンの熱で服を乾かしていれば、どこからか着信を告げる音が鳴る。
ポケットからスマホを取り出すも、自分じゃないとAは首を横に振る。
それを見たミクリもスマホを取り出せば、画面に表示されている応答ボタンをタップした。

「もしもし？……うん、あぁ大体のことは聞いたよ。
うん、ふふ、わかったよ」

『……誰？』

「ダイゴだよ。
これからハルカちゃんがここに来るらしい。
目的は……お前と同じだろうね」

Aの方へと目を向け、くすりと笑う。
何処か含みのある笑みに、首を傾げた。

………それにしてもなるほど、彼女もあのヒガナという少女に空の柱について聞いたのか。
それをダイゴに伝え……そこからミクリへ。
先程までの推測が、確信へと変わっていく。

それで事態が良い方向に向かっていくなら、それはそれで構わないが……嫌な予感がするのは何故だろう。
形容し難い不安感が襲ってきて、焦りが募る。
思わず、握る拳に力がこもった。

「ほら、また眉間に皺が寄ってるよ」

『うぐ、』

つん、と眉間を突かれ額を両手で隠す。
その様子が何だか面白くて、口の端からふっと笑い声が溢れた。

するとその時。
ジムの扉が大きな音と共に勢いよく開いて、見慣れた赤いリボンが視界の端に映る。

「ミクリさん！……と、Aさんも！」

「ようこそ、再びのルネへ。
チャンピオン、ハルカ」

『数刻ぶりだね、ハルカちゃん』

こちらへと駆けてくる少女にひらりと手を振る。
まだ幼い、齢12歳の女の子がこのホウエンのために走り回っている姿を見ると……少しばかり申し訳なさが込み上げてくる。
本来守られるべき存在の子供を、大人が解決すべき問題に巻き込んでしまうのは申し訳ない。

しかし、年齢など気にならないほどに彼女は強く、ポケモンを愛し、ポケモンに愛されている人だ。
それゆえに、彼女を頼ってしまうのだろう。

「ダイゴから話は聞いてるよ、空の柱に行きたいそうだね」

「はい、ヒガナって子が…何をしようとしているのかわからないけど……もしも危険なことをしているなら止めないといけないんです」

「………うん、そうだね。
とにかく善は急げだ、私とAは先に向かうよ。
準備ができたらキミも追いかけて来たまえ。
空の柱は131番水道にある小さな島に聳え立っているからね」

『気をつけて来てね』

段々と、二人の背中が小さくなる。
一人残されたハルカは、気を引きしめなければと拳を強く握った。