ダイゴさんの姉の話【pkmn】 (ページ37)

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「今さらだけど私はヒガナ。
あぁ、お姉さんは名乗らなくてもいいよ。
Aさん……だよね？
元チャンピオンのお姉さん、それなりに有名だから知ってる」

『……へぇ、私って有名だったんだ』

わざとらしく、驚いたような表情を見せる。

確かに、このホウエンでAのことを知っている人は少なくない。それはあくまでダイゴの姉として…だが。
それが知られるまでにはひと騒ぎあったものだが…それはまた、別の話だ。

『それで、君は私に何の用？』

「見た目に似合わずせっかちだね、Aさん。
もう少し焦らずゆっくり行こうよ」

『生憎だけど、あんまりゆっくりしてる暇はないの』

「あはは、知ってるよ。
隕石が衝突するんだっけ？それを止めなきゃいけないもんね」

思わず目を見開く。
隕石の衝突は、限られた人しか知らない情報だ。
なのに目の前の少女は知っていた。

まさか、宇宙センターの関係者？
いや、そうは見えない。
となれば……自分たちの会話を盗み聞きしていた？

「私、知ってるよ。
君たちが飛ばそうとしているロケットは、人間が考え出した3000年前の忌まわしきテクノロジーにより造り出されたエネルギーを利用しているって」

『……よく、知ってるね』

「これでも色々調べたんだ。
ねえ、君たちは"人類のために"とか"世界のために"とか言って昔々に犯した過ちを繰り返すつもりなの？」

本当に全部知っているんじゃないか。
そうとすら思ってしまった。

おそらく目の前の少女は、彼女が研究者であるということを前提とした上でこんな質問を投げかけているのだろう。
3000年前の歴史を調べていた彼女だからこそ、これからすることの危険性も理解していると。

彼女は、いったい何者なのだろうか。