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『3000年前、カロス地方で大きな戦争があった。
多くの人やポケモンが犠牲になった戦争だったけど……最終的には、一人の男が造った兵器によって幕を下ろしたの』
資料に、最終兵器跡と書かれた写真を見つける。
ポッカリと空いた大きな穴、どうやらそこに最終兵器と呼ばれるものがあったらしいが、今はもう跡形もないと資料には書かれていた。
『その兵器のエネルギーはなんだったと思う?』
「エネルギー……」
『それはね、ポケモンたちの生体エネルギーだった。
多くのポケモンたちの犠牲の上に、その兵器は成り立っていたの』
今の時代からすればとんでもない話だ。
人間の都合でポケモンを犠牲にするなど、あってはならない話だと誰もが言うだろう。
今、この時代で…人とポケモンは共存しているのだから。
『元々、この最終兵器は失われた命を甦らせることを目的として作られたものらしいんだ』
「失われた、命を……」
『愛するポケモンを失った悲しみから作り出された兵器。
そこには確かに、人とポケモンの絆があった。
それを詳しく知りたくて、昔は色々と調べてたの』
だからこんなに詳しい資料があるのか。
ハルカは納得した。
確か、彼女は人間とポケモンの関係性について研究しているんだったか……となればそんな背景がある戦争を調べようと思うのも頷ける。
しかし、その興味だけでここまでの資料を作り上げるのはさすがとしか言いようがないが。
『でもこのエネルギーは決して悪いだけじゃなくて、ウチの会社はこれを利用して新たなエネルギーを生み出した』
「それが、デボンコーポレーションの誇る"∞エナジー"でね。これのおかげでデボンはホウエンのトップ企業となり今の規模にまで成長したんだよ」
『ちなみにハルカちゃんが前に取り戻してくれたらしい"デボンの荷物"は∞エナジーを利用した潜水艇用モーターだったの』
思わぬ繋がりに目を丸くする。
そして、社長はさらにそのエネルギーを活用して宇宙開発事業にまで進出し、ロケットを作り出したと言うのだから驚くしかない。
3000年前の戦争とか、それを利用してエネルギーを生み出したとか……規模が大きすぎてただでさえ混乱しているのに、宇宙まで規模が飛躍してしまってはもうついていけそうにない。
もうすでに、ハルカは目を回しそうな勢いだった。
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作者名:セレーナ・ラフィーネ | 作成日時:2023年3月15日 22時