第7話 世界の異変【エピソードデルタ】 ページ32
「ハルカちゃん」
「あ、お待たせしました!」
カナズミシティ、デボンコーポレーション前。
ダイゴにマルチナビの通話機能で呼び出されたハルカはポケモンの力を借り、トウカシティから急いでカナズミシティへと到着した。
「ううん、全然平気だよ。
むしろいきなり呼び出してすまなかったね。
ボクのカンはよく当たることで有名なんだけど……まさかこんなに早く再会することになろうとはね。
しかもあまり嬉しくない理由での再会になってしまったし……」
『ダイゴ、ハルカちゃん来た?』
ダイゴの後ろの扉が開いたと思えば、見知った顔が覗き銀青色の髪が揺れる。
そしてお目当ての人物が目の前にいることに気づくと、にこりと目を細めて笑い手を振った。
『いらっしゃい、ハルカちゃん』
「A…さん?」
おやじは?部屋にいるよ。などと会話を繰り広げる二人をぼーっと眺める。
ダイゴに呼ばれて来てみればそこには最近知り合ったばかりのAの姿がある。
何故だろう、と首を傾げるのも仕方のないこと。
ハルカにとってAは研究者のお姉さんであり、ルチアの叔父でルネジムのジムリーダーであるミクリの昔からの友達…という立ち位置なのだから。
『ハルカちゃん?』
「あ、えっと……」
聞いてもいいものか。
なかなか言葉にできず口籠る。
そんなハルカに二人は首を傾げるも、何かを察したAが"あ!"と笑いながら口を開いた。
『言ってなかったよね。これ、私の弟なんだ〜』
「これって言わないでくれるかい?」
弟…その単語を頭の中で繰り返しながら、目をパチパチと瞬かせる。
そしてその言葉を理解できた時、思わず口から"えっ!?"と、大きな声が出た。
「ご
『うん、私が姉で…』
「不本意だけどボクが弟なんだ」
『不本意って何よ、不本意って』
「そのままの意味だけど?」
目の前で言い争う二人をまたぼーっと見つめる。
姉弟…言われてみれば、確かに似ている。
知ってしまえば姉弟にしか見えず、逆に今まで何故気づかなかったんだろうと思うほどだった。
『あぁ、そうだ。
そんなことよりも……お父さん待ってるから、社長室に行ってあげて』
「姉貴は?」
『資料持ったら行くから相手しといて』
「……全く」
ひらひらと手を振りながら中に入って行くAに毎度のことながら苦笑いをこぼす。
しかし、行こうか。とハルカにいつもの御曹司スマイルで笑いかけると扉を開けてハルカをエスコートするように建物の中に足を踏み入れた。
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作者名:セレーナ・ラフィーネ | 作成日時:2023年3月15日 22時