ダイゴさんの姉の話【pkmn】 (ページ27)

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『まずは一回、ダメだったらもう一回。
私はそれでいいと思うな』

諦めずに挑めば機会は巡ってくる。
目標があること、それはまだまだ成長できる証だ。
ポケモンバトルにせよ、コンテストにせよ…なんにせよだ。

『現に私がそうだし』

「チャンピオン、強いもんね」

そうだね、とルチアに笑って返す。

もう…何度とリーグに挑戦しただろう。
それは、ダイゴの前任のチャンピオンであった時も…ダイゴがチャンピオンとなってからも。
昔は勝ちたいと、その一心だった気がするが…今はあの場に行くのがただただ楽しいのだ。
バトルが特段好きなわけでもないが…あの場に立つ瞬間だけは、昔のようにただバトルを楽しめている気がしていた。

『ハルカちゃんよりは人生経験豊富なお姉さんからのアドバイスだよ』

わざとらしく、片目が閉じられる。
その様子が…なんだかおかしくて。
ハルカは声を上げて笑った。

これまでの悩みがちっぽけに思えて…前に進む、その勇気をもらえたような気がした。
そう、何回でも挑めばいいのだと。
たった一回で終わる挑戦ではないのだと…そう思えた。

「……ありがとうございます。
私、頑張ってみようと思います」

幾分か、緊張が解けたような表情だった。
ふにゃりと崩されたその表情に、Aもルチアも笑を浮かべる。

『もしチャンピオンに勝ったらその時は教えてね。
盛大にお祝いするから！』

「わぁ！」

「あ、Aお姉さん！私も呼んでね！」

『もっちろん』

若い力が育っている。
時代は、きっと移り変わって行く。

これはダイゴにも強力なライバル登場かな…なんて、ポケモンリーグ最後の部屋で待ち構えるチャンピオンの姿を思い浮かべ、Aは笑みをこぼした。

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そして、それから数日後のこと。
齢12の少女がチャンピオンを打ち破り、このホウエン地方の新たなチャンピオンとなった。