風紀委員長のわんこですが (ページ13)

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12匹目　戦わなければ生き残れない!⑤ ページ13

『ここ………だよな、絶対』

校舎裏にまわってちょっと歩いた広くなっているところに、いかにも"ワル"そうな人がゴロゴロ転がっていた。

委員長、今日も大暴れだなあ……

下の土はふかふかで、ところどころ植物の芽が出ていることから畑を連想させる。
この人たちを養分にして何か育ててるみたい、とか。

…笑えないか。

「あっれぇ～？スケバンちゃんじゃん」

台車から積み荷を降ろそうとしたとき、新たなヤンキーが物陰から現れた。

前髪を結んでおでこを出した童顔と、とげとげした黒髪の長身男の2人だ。

この様子だと、ずっとここで待ち伏せていたのだろうか。

でこ出しが詰め寄って来る。とげとげも私をギロリと睨んだ。

『な、なんですか』

「オレたちさぁ、おたくの委員長さんにひどい目に遭わされたんだよねぇ～
よっしー、見せてやって」

とげとげは自身のワイシャツをめくった。
晒された鎖骨の少ししたに、痛々しい痣が見える。

「生徒にこんな傷負わせて、委員会としてどーなの？暴力ハンターイ！」

「ハンターイ！」

でこ出しの言葉に、とげとげも無気力に声を合わせた。

委員長はあんな人だから、多くの生徒から恨まれている。それはずっと前から知っていた。

「何が風紀委員会だよ！風紀守ってねーじゃん！ぷはははっ」

今朝だって、委員長を悪く言う声を聞いた。なのに私は無視をした。

でも、私は知ってる。委員長は…… 委員長は………！！

『ふざけないで…ください』

「あぁ？」

『あ、あなたに何がわかるんですか！
静かにしなきゃいけない場所で騒いだり、弱い者いじめをしたり… 他人に迷惑をかけるのが悪いんでしょ！！』

「テメェ！」

でこ出しは私に掴みかかって凄んだ。それでも私は怯まない。

『あなたたちなんて、委員長の足元にもおよばない！直接戦う勇気もないくせに！』

言い切って、自分が涙を流していることに気づいた。

握りしめた手は震え、息は切れ、心臓はドクドクと音を鳴らしている。

「なんだと…！！」

カッとなったでこ出しが、堪えきれなくなって拳をあげた。