轟くんの初恋奮闘大記録 (ページ7)

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第６話　　　恋を教えてページ7

綺麗なやつだと、思った。

綺麗な黒髪に少し先に青の掛かっている綺麗な髪。

整った容姿を引き立たせる彼女に似合った椿の着物。

見とれていたと思う。

苛々していた、勝手に見合いなんか、親父に連れてこさせられて。

うんざりしていた、所詮個性婚だと、分かっていたから。苛々、してたんだ。

でもアイツを見た瞬間、そんな汚ねぇ感情が晴れてく感じがして、

個性婚でも良いなんて考えて居て、馬鹿げてる。アイツは何なんだ。

顔があちぃ、心臓がうるせぇ。

この気持ち…………何なんだ？分からねぇ、知らない、感情。

雄英に来て俺は少しずづ変われていると思う。

親父を今も憎んで居ない事はない、それはずっと変わらない。

でも緑谷やアイツらと関わっていくことで沢山の事を知れたと思う。

それこそ母さんの力しか使わないと決めていた前の事が馬鹿らしく思えてくる程に、

『嬉しいと思った。』

この気持ちは何だ？

嬉しいとは違う、これは…………

その時ふと、昼メシの時に食堂で話していた女子達の会話が頭に流れ込んでくる。

『恋してみたーい！』

『好きね、三奈ちゃん。』

『恋は青春の定番だもん！！一度はしてみたいよね！！』

『出会い…………運命の男性と恋ですか…………！憧れますわね…………！！！』

席が近かったアイツらの話を少し耳に挟んだだけだったが、

あの昼間あの席に座っていて良かったな、

…………これが恋、か…………。

もう一度思うが俺は沢山の事を、感情をＡ組の奴らと居る事で知れたと思う。

けど、まだ恋は知らねぇんだ。

なぁ、A、

好きだ。

俺はお前の事が…………Aの事が好きみてぇなんだ。

初対面なのに、会ったばかり…………とか言いそうだよな、お前。

それでもいい、きっと惚れさせてみせる、だからA、

俺に恋を、教えてくれないか？