第肆拾陸話、拒否 ページ47
とある
例の二組織の長達が向かい合わせに座り、腕を組み、手を組み、冷や汗を流していた。
状況は悪くなる一方だった。
互いの構成員は、既に半分がこの世から姿を消していた。
協力者であるドストエフスキーに言われ、一時の避難場所としてこの
苛立ちだけが募り、貧乏ゆすりが酷くなる一方だ。
「くそッ。なんだってこんな目に」
「……お前だって、本当は判っているだろ」
不満を吐き出した男に対し、もう一人が恐る恐る口にする。
「執行者だ。執行者の奴らが、俺達に報復しにきて」
「彼奴らは滅多に表に出ねェ。裏社会じゃ、俺達組織の事で盛り上がってンだぞ。それが事実なら、自ら正体明かしに言ってるようなモンだ」
「それは、そうだが…」
「俺達は執行者の一人、否、一つを潰したんだ。下手にては出せまい」
荒々しい声で言い放つ。一見、強気の姿勢に見えるが、それは自分自身に言い聞かせているように見えた。
二人はそれ以上の会話はせず、打開策がないか必死に脳を動かす。
その時、叩敲もせずに扉が開いた。
視線を向ければ、酷く怯えている男が一人。声を荒げた男の部下だった。
「なんだッ、叩敲もせずに」
「す、すみません。緊急事態です!」
顔を青白くさせて言う。
「し、執行者です。執行者が」
先程の仮説とも言えない、巫山戯た話が現実だと鈍器のように殴って伝えられた。
部下の手には携帯が握られていた。
液晶画面には"通話中"とだけ表示されている。怯えてまともに話せていなかったが、執行者から電話がかかってきた事を伝えに来たのだろう。
長二人は息を呑む。
部下の手から携帯を取り、拡声機にして机に置いた。
「お前か。執行者など巫山戯た事を言う莫迦は」
現実であると思いたくなかった。だが、その思いは次の発言で砕け散ることとなる。
「あぁ。そうだ。覚えてるか?」
その場にいた全員が驚愕の表情で携帯を凝視した。
聞き覚えのあるその声は、まさしく四年前に聞いた声_執行者の声だった。
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RANA(プロフ) - ゆかりさん» 遅くなりましたが続編で来ました!続編でも読んでいただけたら幸いです。 (2021年8月1日 21時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ゆめのあきさん» そう言って頂けて嬉しいです!ありがとうございます (2021年8月1日 21時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 続き待ってます (2021年7月23日 16時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです! 更新楽しみにしてます! (2021年7月15日 1時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - らむくんさん» そうなんです……シリアスをシリアスにできずに本当に申し訳ないです切腹 (2020年8月14日 1時) (レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2020年8月2日 13時