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第肆拾陸話、拒否 ページ47

とある宿泊亭(ホテル)の一室。どの部屋よりも広く、豪華な装飾が施されたその部屋は重たく苦しい空気に包まれていた。


例の二組織の長達が向かい合わせに座り、腕を組み、手を組み、冷や汗を流していた。


状況は悪くなる一方だった。
互いの構成員は、既に半分がこの世から姿を消していた。組合(ギルド)の遺産どころではないと早々に横浜を立ち去りたかったが、港や空港では異能特務課が目を光らせ、闇ルートではポートマフィアが圧をかけているせいで中々出られない。

協力者であるドストエフスキーに言われ、一時の避難場所としてこの宿泊亭(ホテル)に身を置くことにしたのだが、気を休める事はなかった。

苛立ちだけが募り、貧乏ゆすりが酷くなる一方だ。


「くそッ。なんだってこんな目に」

「……お前だって、本当は判っているだろ」


不満を吐き出した男に対し、もう一人が恐る恐る口にする。


「執行者だ。執行者の奴らが、俺達に報復しにきて」

「彼奴らは滅多に表に出ねェ。裏社会じゃ、俺達組織の事で盛り上がってンだぞ。それが事実なら、自ら正体明かしに言ってるようなモンだ」

「それは、そうだが…」

「俺達は執行者の一人、否、一つを潰したんだ。下手にては出せまい」


荒々しい声で言い放つ。一見、強気の姿勢に見えるが、それは自分自身に言い聞かせているように見えた。
二人はそれ以上の会話はせず、打開策がないか必死に脳を動かす。


その時、叩敲もせずに扉が開いた。
視線を向ければ、酷く怯えている男が一人。声を荒げた男の部下だった。


「なんだッ、叩敲もせずに」

「す、すみません。緊急事態です!」


顔を青白くさせて言う。


「し、執行者です。執行者が」


先程の仮説とも言えない、巫山戯た話が現実だと鈍器のように殴って伝えられた。

部下の手には携帯が握られていた。
液晶画面には"通話中"とだけ表示されている。怯えてまともに話せていなかったが、執行者から電話がかかってきた事を伝えに来たのだろう。

長二人は息を呑む。

部下の手から携帯を取り、拡声機にして机に置いた。


「お前か。執行者など巫山戯た事を言う莫迦は」


現実であると思いたくなかった。だが、その思いは次の発言で砕け散ることとなる。


「あぁ。そうだ。覚えてるか?」


その場にいた全員が驚愕の表情で携帯を凝視した。

聞き覚えのあるその声は、まさしく四年前に聞いた声_執行者の声だった。

第肆拾漆話、晴天下→←第肆拾伍話、遭逢



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RANA(プロフ) - ゆかりさん» 遅くなりましたが続編で来ました!続編でも読んでいただけたら幸いです。 (2021年8月1日 21時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ゆめのあきさん» そう言って頂けて嬉しいです!ありがとうございます (2021年8月1日 21時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 続き待ってます (2021年7月23日 16時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです! 更新楽しみにしてます! (2021年7月15日 1時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - らむくんさん» そうなんです……シリアスをシリアスにできずに本当に申し訳ないです切腹 (2020年8月14日 1時) (レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2020年8月2日 13時

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