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第弐拾仇話、予想外 ページ30

次の日。
Aの姿はどこにもなかった。


午前中は大学の講義がある為、太宰と国木田が迎えに行った。万が一逃げようとしても、太宰の頭脳で逃走経路を図り、国木田の体術で捕獲できると踏んでの事だった。

だが、Aは大学に現れなかった。
妙に思った二人が、よくAと一緒にいた友人達に聞きに行った。彼等とは何度か会った事がある為、すんなりと教えてくれたのだが、予想外の言葉だった。


「退学した、だと」

「アンタら知らなかった?なんか、米国(アメリカ)の方に勉強しに行くっつってたよ」

「留学だと期間が短いし」

「思い切ったよな」


その後車に戻り、社に残っていた谷崎と敦にすぐさま連絡を取った。今すぐうずまきにAが何時来るのか確認しろ、と。


嫌な予感が頭の中でぐるぐると回る。

数十分後、谷崎から電話があった。


「…どうだった?」

「辞めていました。しかも、かなり前から辞める事を伝えていたそうです。探偵社には自分から言うからと、口留めされていたらしくて…」

「くそッ!」


拳をハンドルに叩きつける。鈍い音が虚しく鳴った。


予想を遥かに上回っている。Aは探偵社に事件の依頼が来る事を随分に前に悟り、準備を進めていたのだ。


奥歯をギリッと噛み締め、助手席に座る太宰を見た。
顎に手を当て、ずっと思考を巡らせている。


「どうする」

「……谷崎くん、敦くん。今から私が言う場所に向かってくれ」


調べれば、北原家の家も土地もそのままの状態で残っているらしい。殺人があった家を当然ながら気味悪がり、引き取り手が誰もいないのだ。


「私と国木田くん、それから社にいる皆とで、念のため街を捜そう」


わかりました、と二人の声が重なる。


電話を切れば、鉛のように重い空気が二人を覆った。

第参拾話、感傷→←第弐拾捌話、不可解



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RANA(プロフ) - ゆかりさん» 遅くなりましたが続編で来ました!続編でも読んでいただけたら幸いです。 (2021年8月1日 21時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ゆめのあきさん» そう言って頂けて嬉しいです!ありがとうございます (2021年8月1日 21時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 続き待ってます (2021年7月23日 16時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです! 更新楽しみにしてます! (2021年7月15日 1時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - らむくんさん» そうなんです……シリアスをシリアスにできずに本当に申し訳ないです切腹 (2020年8月14日 1時) (レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2020年8月2日 13時

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