決めるのはこの場の誰でもないとは。 ページ4
No side
辻村の言う通り、目標地点上空に到達した。
黙って下界を見つめる彼らに、「本当に行く気ですか？」と不安を隠しきれない声色で問う。
「嗚呼」
「無理です！下は地獄ですよ！」
辻村は目じりを上げて睨みつける。
傍から見れば今の澁澤は本能のままに暴れる龍、人知を超えた化け物。到底、人が叶うような相手ではない。
異能力という力を持っているとしても、人間である事には変わらない。
「無茶苦茶です」
『無茶苦茶かどうか決めるのは貴方じゃない』
辻村に背を向けたまま、Aは即答した。
今から行う作戦は、安吾に頼まれてAが立てたものだ。
それは勿論辻村にも伝わっている。
彼女は理解できていなかった。
"ポートマフィア唯一の参謀"
その名は異能特務課に所属する者なら一度は必ず耳にする。けれどその正体は何故か不明のままだった。
その正体不明が現れた。
自分よりも若い少女が裏社会の頂点に立つ組織の心髄。
辻村は負けじと言い返す。
「貴方はまだ子ども＿」
『だから？』
ぴしり、と身体が動かなくなった。
深い金色の瞳に睨まれた瞬間、だ。
寝ているわけでもないのに金縛りにかかったかのようで、息をするのも苦しい。
彼女の瞳に一切の光はない。
そこにあるのは闇だ。
無理やり入れた空気に喉がヒュ、と鳴る。
『私の作戦に失敗なんてのはないから安心していいよ、おねーさん』
Aは目を閉じ、にっこりと笑った。
こんな事で怯えていては仕方がない、と辻村は深呼吸する。大きく脈を打つ心臓を落ち着かせ、冷や汗が流れる額を噴いた後、二人に視線を戻す。
「だとしても、己を過信して戦えば、死にますよ」
「…そういうのはな、ビビッて帰っていい理由にゃなんねェんだよ」
中也が一歩踏み出し、靴音が静かに響いた。
背を向けたまま、言葉を続ける。
「ビビッて帰っていい時はどんな時か判るか？」
「………判りません」
「ねェよ、そんな"時"は」
直後、一切の迷いも無く床を蹴る。
辻村が顔を上げた時には、はためく黒い外套はなかった。
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RANA(プロフ) - 夜月銀桜さん» ありがとうございます！再更新の日にまたお会いしましょう！！ (2020年1月30日 0時) (
レス) id: 96770a17e2 (このIDを非表示/違反報告)
夜月銀桜(プロフ) - お疲れ様でした！また１０を楽しみにしています！ (2020年1月29日 21時) (レス) id: 8b1129a01c (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ぴのさん» ありがとうございます！！徳永は相変わらずのおにぎりキャラメルペースです！←この子はずっとこんな調子です←←あともう少しで終結へ…それまでよろしくお願いします。 (2019年12月11日 0時) (レス) id: 96770a17e2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - RANAさん続編おめでとう＆スター作者おめでとうございます！徳永ちゃん相変わらずマイペースね……性格がぶれないからほんとに好きです！ (2019年12月9日 15時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - I am gotさん» ありがとうございます。期待に応えられるよう頑張ります！ (2019年12月9日 0時) (レス) id: 96770a17e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RANA
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時：2019年12月5日 16時
