舞台の幕開けとは。 ページ5
『って、置いてくなっつーの』
小さくなっていく背中を軽く睨む。
やがて霧の中に消えた、かと思えば割れた地面から抉り取った塊に立ち、辺りにもそれを浮かばせている。
遠くから見ればいつもの中也だが、今の中也は"いつもの"じゃない。
「凄い、どんどん上がってる…」
斜め後ろにいるおねーさんが呆然と呟く。
チラリと視線を向ければ、手元のタブレットを見ていた。衛星映像が映されているんだろう。
「これは、一体…」
『『汚濁』だよ』
「『汚濁』…?」
『ざっくり言っちゃえば、最終手段』
中也の異能力は『汚れつちまつた悲しみに』、重力を操作する異能。自らを重力子の化身となる『汚濁』は強力だが、中也自身は制御は愚か解除も出来ない。
「え、じゃあ…死ぬまで暴れ続けるって事ですか?」
『太宰が今いないから、そーいう事になるね』
「そんな…澁澤を倒せたとしても、今度は」
『だから私がいる』
さて、そろそろ行きますか。
にしても結構高いな…『
なんて思いながら歩き出せば、後ろから腕を掴まれた。
「ちょ、何行こうとしてるんです!?」
『中也の
「そっちが本音でしょう!」
勿論。
「駄目です。ポートマフィアの参謀だかおにぎり狂だか変人だか知りませんが」
『ちょっと待った、今悪意のある言葉が聞こえた気が』
「とにかく、貴方はまだ若いんです。死なせるわけにはいきません」
思わず目を見開く。
おねーさんはキッと強い眼差しを私に向けていた。
真っ直ぐな瞳が彼女の人柄を表している。
『…私は死なないよ、おねーさん』
私の腕を掴む手をそっと離した。代わりに帽子を握らせる。
『その証拠に、これお願いするよ』
「帽子…?」
『そ。大事なものだから、預かっといて』
おねーさんと向き合ったまま、後ろに下がる。
両手を広げて、全身で風を受け止める。
『ショー・タイムといきますか!』
とん、と軽く蹴ると体が宙に浮いた。
異端の存在が二匹とは。→←決めるのはこの場の誰でもないとは。
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RANA(プロフ) - 夜月銀桜さん» ありがとうございます!再更新の日にまたお会いしましょう!! (2020年1月30日 0時) (レス) id: 96770a17e2 (このIDを非表示/違反報告)
夜月銀桜(プロフ) - お疲れ様でした!また10を楽しみにしています! (2020年1月29日 21時) (レス) id: 8b1129a01c (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ぴのさん» ありがとうございます!!徳永は相変わらずのおにぎりキャラメルペースです!←この子はずっとこんな調子です←←あともう少しで終結へ…それまでよろしくお願いします。 (2019年12月11日 0時) (レス) id: 96770a17e2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - RANAさん続編おめでとう&スター作者おめでとうございます!徳永ちゃん相変わらずマイペースね……性格がぶれないからほんとに好きです! (2019年12月9日 15時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - I am gotさん» ありがとうございます。期待に応えられるよう頑張ります! (2019年12月9日 0時) (レス) id: 96770a17e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2019年12月5日 16時